個人向け国債は絶対に買ってはいけない!
当サイトでは、日本国債への投資は不要というページを設けています。中でも個人向け国債は、デメリットだらけなので、最も「買ってはいけない」金融商品だと断言できます。その理由を説明してみます。
日本国債に投資する商品は、個人向け国債以外にも幾つかありますが、通常国債(生債券)は一般の投資家は買えません。しかし、ほぼ同等の条件である「新窓販国債」というものが、個人投資家でも購入可能です。そして、投資信託(日本債券ファンド)も売られています。
種類 |
個人向け国債 |
新窓販国債 |
日本債券ファンド |
満期 |
3年・5年・10年 |
2年・5年・10年 |
無し(満期分は新規債に買換) |
買付単位 |
1万円単位 |
5万円単位 |
千円程度から |
金利 |
通常国債より低い |
通常国債とほぼ同じ |
通常国債より高め |
保有コスト |
なし |
なし |
あり(年0.5%前後) |
利払い |
年二回 |
年二回 |
毎月〜無分配まで様々 |
途中解約 |
1年間は解約不可能
1年超もペナルティが掛かる |
解約ではなく市場で売却する
時価によっては損益が生じる |
いつでも可能
但し基準価格は毎日変動する |
個人向け国債は、通常国債(≒新窓販国債)に比べて、圧倒的に不利な設計となっています。まず、多くの書籍等で推奨されている「変動10年債」の金利は【基準金利(≒長期金利)×0.66】となります。長期金利が1%の時は、0.66%という訳です。かなりぼったくられていますね。
しかも、この金利の算出方法は、以前は「基準金利−0.8%」とされていました。現在の計算方法では、低金利下では有利ですが、高金利になればなるほど不利です。
金利情勢 |
以前の計算 |
改訂後の計算 |
改訂後の優位性 |
長期金利が1%の時 |
1-0.8=0.2(%) |
1×0.66=0.66(%) |
+0.44% |
長期金利が3%の時 |
3-0.8=2.2(%) |
3×0.66=1.98(%) |
-0.22% |
長期金利が5%の時 |
5-0.8=4.2(%) |
5×0.66=3.3(%) |
-0.90% |
過去の日本の長期金利を見ても、また米国など諸外国を見ても、1%前後というのは異常です(アメリカの長期金利推移チャートの年度を遡ってご覧下さい)。先進国なら、長期金利は4〜5%程度に落ち着くのが正常です。それに日本でも、2013年より遂に日銀が2%インフレ目標の導入(アベノミクス政策)が遂行されるため、日本の長期金利は上がっていくしかない状況です。つまり、変動10年債の金利条件変更は、近い将来、個人投資家にとって不利に働く確率が極めて高いのです。
また固定5年&3年債については、更に論外です。両者の金利は2013年上旬で、税引き後には0.1%すら下回る惨状です。これでは銀行の普通預金と何ら変わりませんので、わざわざ購入しても、途中解約できない等のデメリットしかありません。
途中解約すれば、高金利分が全て吹っ飛ぶデメリットも・・・
もう一つの大きなデメリットは、途中解約によるペナルティがある事です。個人向け国債には「変動10年債」と「固定5年債」、そして「固定3年債」の三種類がありますが、いずれも購入後1年は解約が不可能になっています。そして1年が過ぎて途中解約する場合、「直近2回分の利子(税引前)相当額×0.8」が差し引かれます。
この直近の利子というのが、大きな問題なのです。現在、日本の長期金利は1%を割り込んでおり、世界最低です。しかし、財政破綻懸念が燻っており、もしデフォルトすれば金利は急騰します。財政破綻を避けるには、インフレによって借金負担を軽減していく(前述のアベノミクス)しかありませんが、インフレ率が高まれば長期金利も上昇します。即ち、今後日本の金融政策がどうなろうとも、日本の長期金利は「上がっていく」しかない情勢なのです。
途中解約すると、直近2回分の利息がペナルティで引かれるわけですが、金利上昇中だと「最も利息が高い2回分」を失う訳です。財政破綻懸念が起きると、金利は急騰しますから、直前二回の利息を失うデメリットは極めて大きいです。かといって、保有し続けていれば、財政破綻で個人向け国債が償還されない「デフォルト」を喰らうリスクもあります。
更に言うなら、個人向け国債が元本割れしないという「安全神話」は、あくまで日本政府(財務省)がそう約束しているだけの事です。財政破綻(デフォルト)というのは、政府が国債償還の約束を破る事ですから、元本割れしないといううたい文句は、机上の空論に過ぎません。
そもそも個人向け国債は、機関投資家だけでは買い手が不足しているから、無理矢理作られた制度です。そして、一般国民が金融知識に乏しい事を利用して、割りの悪い商品として作られているのです。語弊を恐れずに言えば、個人向け国債は、財務省が(放漫財政を続けるという)利権の為に、国民から金をだまし取る為に作った制度なのです。我々国民は、デメリットの塊のような欠陥商品を、押しつけられようとしているのですよ!
多くの金融評論家や書籍では、安全資産として個人向け国債を推奨されていますが、彼らも財務省の詐欺行為に加担していると言わざるを得ません。個人向け国債など、死んでも買ってはいけない商品なのです!
安全資産は、国債ではなく現金で持つ事が絶対です。現金(預貯金)なら、解約不能期間も利息ペナルティもありませんから、財政危機が迫れば実物資産や外貨と交換するなど、機動的に資金を動かせます。
|