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名目GDP成長率と株価の相関関係

★お知らせ★ より詳細なデータで分析したページが完成しました⇒世界各国のGDP成長率と株価の相関

「会社の利益は株主のものである」という定義に従えば、企業の株価は、長期的にはその企業の利益増加率に比例するはずです。この理論は、ピーター・リンチをはじめ多くの著名投資家も述べているので、誰もが異論は無いはずです。

次にGDPというのは、国内の付加価値の合計であるという定義から、国内企業の利益の合計≒その国のGDPと言い換えられます。ということは、ある国の名目GDP成長率は、その国全体での利益増加率だといえます。

ということは、ある国の企業が全て株式上場していて、かつ国内だけで事業を営んでいるとすれば、長期的には「その国の名目GDP成長率=その国の株価指数の上昇率」という図式が成り立つはずです。実際には、どんな国でも非上場企業や個人事業主が沢山居ますし、公務員だっています。しかし、例えば上場企業がその国のGDPに占める割合が10%だったとしても、国の名目GDPの増加「率」と、上場企業の増益「率」とは、ある程度の相関性があるはずです。

そこで、長期データが確認出来る日本とアメリカで、関連性を検証してみました。日米とも、1970年を起点として、名目GDPの増加率と、その国の株価指数(日経平均・S&P500)の上昇率を、グラフで比較しました。

GDPと日経平均の相関グラフ   米国GDPと株価の相関グラフ

まず日本では、1970年の名目GDPは75兆円で日経平均は1987円、これが2010年には477兆円・10228円にまで増加しました。途中、80年代のバブルで株価の上昇率が大きく上回り、2008年の金融危機時には逆に大きく下回っています。そこで、正常な期間だったと考えられる、金融危機前の2007年までで比較すると、名目GDPは年率6.9%、日経平均は年率7.7%と、比較的近い上昇率に収束しています。また90年代半ばより、日本の名目GDPはほとんど拡大していませんが、日経平均も上昇どころか下落してますから、成長率が株価に関係していることは確かなはずです。

一方アメリカでは、さらに相関関係は高まります。同じく1970年から(金融危機前の)2007年まででは、名目GDPは約14倍の上昇(年率7.4%)で、S&P500指数は15.9倍(年率7.8%)ですから、かなり関連性が高いといえるでしょう。

 

新興国への投資比率は増やすべきか否か?

ある国のGDP成長率と平均株価(または株式時価総額)の相関については、様々なアナリスト・研究機関が調査しています。中には『相関は無い!』という専門家も存在しますが、彼らの大半が実質GDPのことを指して「株価に相関は無い」と言っている事に注意が必要です。確かにインフレ率を調整した後の「実質GDP」とでは、株価との相関は低くなります。当サイトで相関が高いと言っているのは、あくまでインフレ率調整を行わない「名目GDP」の方ですから、間違えないで下さいね。

さて、この理論が実際に使われる場面は、GDP成長率の高い国〜すなわち新興国への投資が、どの程度有効なのかを判断する基準としてです。では仮に、明確に答えを出せないものとして「新興国投資のウエイトを増やすべきか?減らすべきか?」という、この理論の本質を検証してみましょう。

近年では、国境を越えた資本移動やM&Aなどが盛んになり、先進国の企業が新興国でビジネスを営んでいることは当たり前になりました。故に『実際に新興国の高成長の恩恵にあずかるのは、ブランド力のある先進国企業の方だ!』と主張する人もいるのです。

しかし筆者は、そんなことはないと考えています。大抵の先進国企業は、海外で売上を伸ばしていると言っても、やはり自国の売上高が最も大きい場合がほとんどです。特に日本とアメリカの企業は、なまじ自国のマーケットが大きいが為に、新興国に積極的に進出しても、売上全体に占める増加「率」は小さいことが大半です。一方で新興国の地元企業は、売上に占める自国比率が非常に高いですから、成長の恩恵を大きく受けるはずです。

また新興国では、外資企業に対して規制が張られ、自国企業を優遇する場合が多いです。例えば中国では、外国資本の自動車メーカーは中国との合弁会社しか認められず、出資比率も50%未満とされています。インドでは小売業が51%・保険業は26%・通信業で49〜74%まで、等と厳格な外国資本の出資規制が敷かれています。

このように、新興国の高成長は、圧倒的に地元企業に恩恵があると考えられるはずです。ゆえに当サイトでは、ある国の名目GDP成長率と株価の上昇率は関連性があり、そして新興国投資の優位性は十分あると結論付けます。高いリターンを求めたければ、中国やインドなど新興国への投資比率を増やすべきです。

   

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