ギリシャのデフォルトで儲ける方法〜後編(PIGS&ユーロ崩壊)
ギリシャのデフォルト(ユーロ崩壊)で儲ける方法の後編です。前編では、直接ギリシャの国債や株式に関する金融商品を売買する方法を紹介しましたが、今回はギリシャ破綻で間接的に影響を受ける国への投資を考えてみます。
方法 |
どうなれば儲かる? |
使う金融商品 |
ギリシャ国債の空売り |
ギリシャ破綻 |
なし |
ギリシャ国債の購入 |
ギリシャ延命 |
なし |
ギリシャ株(株価指数)の売買 |
どちらもあり |
CFD |
ギリシャやユーロ崩壊の賭け |
どちらもあり |
英国のブックメーカー |
イタリアやスペインの国債へ投資 |
ギリシャ延命 |
両国のゼロクーポン債 |
イタリアやスペインの国債の空売り |
ギリシャ破綻 |
CFD |
通貨ユーロの売買 |
どちらもあり |
FX |
ギリシャ危機では、PIGSとよばれるポルトガル・イタリア・(ギリシャ)・スペインの4カ国が、ユーロ圏で債務が多く危険な国だということで注目されました。事実、全体的に景気低迷するユーロ圏の中でも、この4カ国の没落は特に厳しいです。ギリシャ危機が発覚した2010年以降、各国の失業率は悪化しており、2015年現在、イタリアは12%台、スペインに至っては約25%もあります。
当然ながら、各国の長期金利(国債の利回り)も悪化しました。2014年には世界的な国債バブルが起きて長期金利は低下しましたが、2015年にギリシャが再度デフォルト危機だと伝わると、再び金利は上昇傾向になっています。ギリシャが財政破綻すれば、世界的な国債不安が起きて、スペインやイタリアの国債も暴落(金利が急騰)するリスクがあります。
では、スペインやイタリアの国債を売買して儲ける方法を考えてみます。
まず、PIGS諸国の国債(ユーロ建て)を直接購入する手段も、一部の証券会社では可能です。エイチ・エス証券や安藤証券では、イタリア及びスペインのゼロクーポン債を購入できます。これは生債券なのでショート(空売り)することは出来ませんから、価格上昇による利益を狙うことになります。ギリシャがデフォルトしても、将来的にユーロ圏が安定に向かうと読むなら、ギリシャのせいで価格が連鎖的に暴落した時にハゲタカのように安値買いすれば、将来的に大きな利益が期待できます。
また、前編でも紹介したIG証券の扱うCFDでは、ドイツ10年国債先物とイタリア長期国債先物の取り扱いがあります。ギリシャが国債デフォルトやユーロ離脱となれば、次に危険水域にあるPIGSの一角であるイタリアに波及する可能性は極めて高いです。イタリア国債が暴落すると読むなら、CFDでイタリア長期債先物を空売りするという方法で儲けられます。
デフォルトしてもギリシャの株価が暴落するとは限らない
最後に通貨ユーロを売買する事について。ギリシャがデフォルトすれば、極めて高い確率でユーロ離脱=独自通貨ドラクマへ戻すことになるはずです。この事は、短期的に見れば統一通貨ユーロの崩壊危機だとも見て取れるので、円高ユーロ安・ドル高ユーロ安に為替レートが動くと思われがちです。
しかしギリシャは本来、ドイツやフランスなどの経済大国と同じ通貨&同等の金融政策を行えるようなレベルの国では無いのです。劣等生が落第することで、ユーロの基盤は逆に強固になるとも考えられます。
輸出大国ドイツは、本来なら通貨高になるはずなのに、ギリシャが足を引っ張ってユーロ安になっていたことで貿易黒字が拡大し、経済が絶好調だったのです。もしユーロから劣等生ギリシャが抜ければ、ECBの金融緩和は縮小に向かいますし、ドイツの輸出過多もあるので、為替レートはユーロ高に向かうとも考えられるのです。
為替レートというのは一つの株式銘柄と違い、価格変動の要素が極めて多岐に渡るので、短期の値動きなど完全に予測不可能なのです。本来なら円売りになるはずの2011年3月の東日本大震災で、レパトリエーションの動きが強すぎて逆に円高になった事は、為替変動は単純ではないという教訓を教えてくれました。ギリシャがデフォルトしても、ユーロというドルに匹敵する巨大通貨がどう動くのか、短期の値動きを予測することなど無意味です。もし短期的な利ざやを狙うにしても、今まで紹介した他の方法にすべきでしょう。
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