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ギリシャのデフォルトで儲ける方法〜前編

2010年の債務隠蔽発覚後、ギリシャは常に財政破綻(国債のデフォルト(債務不履行))の危機に瀕しています。EU側からダラダラと延命処置の融資を続けていますが、現実問題としてギリシャが自力再建することはほぼ不可能です。さっさとデフォルトして共同通貨ユーロから離脱する方が、長期的に見れば、世界にとってもギリシャ国民にとってもプラスになりますし、当稿執筆時(2015年7月初旬)いつデフォルトしてもおかしくない情勢です。

では、我々日本の投資家が、ギリシャの破綻を利用して儲ける方法が無いか、リスクや注意点も踏まえて考察してみます。日本国内に在住したまま出来る方法を基本に考えます。まずは前編として、ギリシャに直接関係する金融商品から紹介します。他のユーロ圏諸国(PIGS)に投資する方法は、後編で解説します。

方法 どうなれば儲かる? 使う金融商品
ギリシャ国債の空売り ギリシャ破綻 なし
ギリシャ国債の購入 ギリシャ延命 なし
ギリシャ株(株価指数)の売買 どちらもあり CFD
ギリシャやユーロ崩壊の賭け どちらもあり 英国のブックメーカー
イタリアやスペインの国債へ投資 ギリシャ延命 両国のゼロクーポン債
イタリアやスペインの国債の空売り ギリシャ破綻 CFD
通貨ユーロの売買 どちらもあり FX

ギリシャ国債を空売りできれば最高ですが、それは日本の個人投資家では不可能ですし、対応する金融商品もありません。その逆で、底値買いするのも難しいです。2012年頃(?)にギリシャ国債を直接購入したという日本の個人投資家がネットで話題になりましたが、結局は大損で終わったようです。当時は野村などの対面証券会社では、得意客が大金を積めばギリシャ国債を調達できたとかいう話もあるようですが、現在では不可能だと思われます(※注1)。

また、ユーロ圏の国債をまとめて対象とした債券ファンドやETFは数多く販売されています。しかしほとんどのファンドでギリシャ国債は既に処分済みなので、関連性は薄いです。

このように、問題の根源であるギリシャ国債を直接売り買いして儲けるという方法は、残念ながら日本国内には存在しません。もしそんな話を持ちかけてくる金融屋が居ても、詐欺の疑いがあるので慎重になった方が賢明です。

デフォルトしてもギリシャの株価が暴落するとは限らない

次にギリシャの株式市場を狙う方法を考えてみます。ギリシャの株価指数を空売りしたり、あるいは底値だと読めば逆張りでロングで投資すれば、読みが当たれば大きな利益を得られます。日本ではギリシャ株を対象とするETFや投資信託はありませんが、CFDという金融商品では株価指数先物を売買できます。

日本国内のCFDでは、IG証券株式会社がギリシャの株価指数先物「ギリシャ25」を扱っており、これをショート(空売り)でエントリーする方法が最も手軽です。デフォルトによりギリシャ経済が混乱して、株価が暴落すれば儲かる仕組みです。逆に今が危機の底だと考えるなら、ロング(買い持ち)で投資すればよいのです。またCFDは差金決済なのでレバレッジが掛けられるので、最大で口座資金の10倍の取引が可能です。このCFDを使った投資が、ギリシャ国債のデフォルトに乗じて儲ける最短の方法です。

CFDの注意点としては、売買スプレッドが大きいことです。特にギリシャが実際にデフォルトすれば、ギリシャの株価指数先物も値を飛ばして約定しないというリスクも考えられます。高いレバレッジを掛けて取引するのは相当危険です。


source: tradingeconomics.com
 
source: tradingeconomics.com

そして最も注意すべき点は、デフォルトしたり、ユーロから離脱してドラクマに戻したりしても、ギリシャの株価が暴落するとは限らないという事です。金融危機が起きると、国民は通貨を株や不動産や金(ゴールド)などの実物資産に変える動きが増えるので、株価が上昇する場合があるからです。例えばハイパーインフレ状態が続いていたジンバブエでは、貨幣価値が暴落していくことが目に見えていたので、1993年に株式市場が設立されて以降、国民がお金を株式に変える動きが多く、高いインフレと共に株価も暴騰していました(※注2)。

確かにギリシャの株価指数は、債務危機が発覚した2010年初頭(上記チャート左)や、ユーロ離脱が現実味を帯びだした2015年6月(チャート右)には、指数は下落しています。しかし本当にデフォルトからユーロ離脱(通貨をドラクマに戻す)となれば、国民の現物資産へのリスク逃避が加速して、逆に株価指数は上昇するという可能性もありますので、決して確実性の高い方法ではありません。というより、限りなくギャンブルに近い投資になるでしょう。

イギリスのブックメーカーの賭けに乗る方法もある?

少々邪道ですが、ギリシャデフォルトで直接儲ける投資方法として、ブックメーカーを使う手もあります。イギリスでは「ブックメーカー」という合法の賭け屋があり、スポーツの勝敗から、芸能人が離婚するか否かとか、ある国の選挙結果などの政治・経済ネタまで、森羅万象、世界のあらゆる事象についての賭けが行われています。最大手のウィリアムヒルを筆頭に、多くのブックメーカーでギリシャがデフォルトするか否か、あるいはユーロを離脱するかどうか、といった賭けが行われています。このブックメーカーを使って、ギリシャ破綻に賭けるという訳です。

日本国内からでも、インターネットを使ってブックメーカーの賭けに参加できますが、法律的にはグレーゾーンです。しかし、日本人が現地イギリスへ行ってブックメーカーの賭けに乗ることは、何の問題もありません(イギリス国内では完全に合法なので)。当然、ギリシャの破綻にも延命にも、どちらを予想する場合にも使えます。

これは投資というより半丁博打と呼ぶべきかも知れませんが、一応こういう方法もあるということで紹介してみました。

 

※注1;機関投資家が処分したいギリシャ国債を持っていた場合、それを個人に売りつけていたという噂です。現在ではギリシャ国債を持つ日本の機関投資家はほぼ皆無と思われるので、個人が買える「タマ」が残っていないと思われます。
※注2;2009年2月に、ジンバブエの株式市場の通貨が米ドルに変更されてからは、株価は安定している。

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