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世界各国のGDP成長率と株価リターンの相関

長く株式投資を行っている方、特にインデックス投資をメインにしている方なら、おそらく一度は「GDPと株価の関係性」について、考えたことがあるはずです。しかし、ある国の株価とGDP成長率に相関があるか無いか・・・この問題に対して、世界中の様々な学者が全く異なる見解を示しており、中々真実に辿り着けないはずです。

そこで当サイトでは、この問題に対する答えを導き出す為に、世界各国の株価リターンとGDP成長率について、先進国・新興国共に、存在する最長のデータを取得して検証してみました。

株価リターンについては、MSCIの各国指数を配当再投資(税金なし)で換算した数値を採用しています。この理由は、世界の株価研究データの多くが「配当再投資&税金なし」の条件で作成されている為です(※注1)。よって、実際に投資した際には、この数値よりも低くなります。GDP成長率については、世界銀行の公式サイトより作成しています。

最長で42年分のデータなので、十分参考になると思います。では下記のグラフと表をご覧下さい。

世界各国の株価とGDP成長率グラフ

国名 アメリカ ドイツ フランス イギリス スイス オーストラリア シンガポール
株価リターン 9.5% 8.0% 9.5% 12.4% 7.4% 9.6% 9.1%
名目GDP成長率 6.7% 4.7% 7.1% 8.6% 4.5% 9.3% 10.4%
実質GDP成長率 2.8% 2.0% 2.3% 2.3% 1.7% 3.3% 7.5%
開始時期 1969年末 1970年末 1969年末 1969年末 1969年末 1969年末 1969年末
国名 香港 中国 ブラジル インド 台湾 韓国 日本
株価リターン 15.9% 10.2% 18.1% 11.6% 6.0% 8.8% 5.2%
名目GDP成長率 11.5% 15.4% 15.7% 12.8% 6.1% 10.4% 4.9%
実質GDP成長率 6.1% 9.7% 3.1% 6.9% 5.3% 5.7% 2.6%
開始時期 1969年末 1992年頭 1994年末 1992年末 1987年末 1987年末 1969年末

期間は全て「開始時期」の年から2011年末までの年率平均。株価リターンは全てMSCIの各国指数の現地通貨ベース
※アメリカの株価リターンも、S&P500指数ではなく「MSCI USA指数」の数値。
※スイスの実質GDPだけは、1980年以降しか数値が無かった為、同年以降の平均値を採用。
※中国だけはMSCIチャイナではなく「上海総合指数」を採用。理由は、MSCIチャイナは数値の連続性が滅茶苦茶で、約20年のトータルで利回りがマイナスとなっており、指標として明らかに不適切な為。

ご覧のように、中国以外の全ての国で、実質GDPよりも名目GDPの方が、株価リターンに近い数値となっています。オーストラリアや台湾、インドや日本などは、ほぼ完全に相関関係にあると言えるでしょう。一方、唯一その関係が崩れている中国も、香港市場と均して比較すれば、やはり名目GDPとの相関が強いと見て取れますね。

 

インフレ率を加味した「名目GDP成長率」とは相関がある

一般的には「GDPと株価に相関はない」という説が、日本では蔓延していますが、根拠は曖昧です。その理由は、ほとんどの資料・文献で「GDP」の定義が明確でないからです。おそらく、これらの説で言うところの「GDP」というのは、物価変動を除いた「実質GDP成長率」を指していると思われます(※注2)。

であるなら、株価との相関が弱いことは当たり前です。株価はその国の物価変動の影響を受け、インフレ率が高いほど、指数の上昇幅も大きくなります。株価の方が物価変動の影響を受けているのに、比較対象のGDPを「物価変動を差し引いた」実質GDPで見るのは、明らかにおかしいですよね。

実際の数値を見ても、インフレ率(名目GDP成長率ー実質GDP成長率)の高いブラジルや中国では、株価リターンも大きく、デフレで名目GDP成長率が最低の日本は、株価リターンも最低となっています。

但し、株価リターンはあくまでも現地通貨建て(中国なら人民元、ブラジルならレアル)での利回りなので、日本人が投資する場合(=円建てでのリターン)でも高くなるとは限りません。相対的購買力平価説に習えば、インフレ率の高い国の為替レートは減価するので、円高が進む=利回りが減少することになります。一方で「バラッサ・サミュエルソン効果(※注3)」に習えば、中国やインドなどの為替レートは、円安になっていくはずですから、利回りはむしろ増える事になります。

実際には、将来どちらの影響が強く出るかは、神のみぞ知る事です。しかし、2012年度現在の円高(1ドル=約80円)が行きすぎたレートであることや、人民元レートが(中国政府の意向で)過小に抑えられていることは、ほぼ間違いないと見られています。 従って、少なくとも今後は、円高による為替差損は余り気にする必要は無いと思います。

   

※注1;当サイトでも紹介している、ジェレミー・シーゲルやジェームズ・オショーネシーの各種書籍、あるいはファンダメンタルインデックスのデータ等も、全て「配当再投資&税金無し」という前提で、利回りデータが計算されています。
※注2;日本では、各種書籍や資料などで語られる場合に、GDPの定義を書いていない場合が非常に多いです。資料としては失格ですが、日本では「名目GDP」が語られる事はほとんどないことから、実質GDPであると推測されます。
※注3;バラッサ・サミュエルソン効果とは、経済成長率の高い国の為替レートは、長期的には上昇するという理論。

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