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新興国債券への投資は必要か?

株式と債券へ分散することが投資の基本であると、多くの書籍では解説されています。株式に関しては、先進国だけでなく新興国への投資が有望なことは、当サイトを含め多くの専門家が認めています。しかし債券については、新興国へは投資すべきでないとの意見が大半です。高金利で一見有利に見える、新興国債券のデメリットは何でしょうか?

新興国債券が否定される理由は主に3つです。一つは新興国の政情不安で、国債というのはその国が支払いを保証する債券であるため、政情リスクが高い新興国より、デモクラシーが発達して政情が安定している先進国の方が有効だという理論です。二つ目は、新興国の為替レートは変動が激しく、安全運用が第一目的である債券投資には大きなデメリットだという理屈です。そして三つ目は、新興国の国債は金利が高いものの、高金利通貨は為替レートが減価していくという、金利平価説に基づいた否定意見です。

確かに前二つは、先進国に比べて明らかにリスクが高く、理に適った言い分です。しかし三つ目の金利平価説は、近年では崩れつつある「廃れた理論」です。高金利通貨への投資が有効だったデータや、新興国の為替レートは経済成長と共に上昇していく「バラッサ・サミュエルソン効果」という理論もあります。少なくとも、前二つほど決定的なデメリットとは言えません。

そもそも、先進国の国債の方がリスクが高いと見れるデータもあります。国の負債の対GDP比率は、先進国の方が新興国よりも遙かに高い水準にあります(下表※注1)。現に2011年現在(一応先進国である)ギリシャが破綻の危機に直面しており、イタリアやスペインも負債が激増しています。アメリカも財政赤字の拡大がオバマ政権のアキレス腱となっています。何より世界最悪の政府債務比率で、このまま無策だとデフォルト確実なのが我が日本国です。

主要国の政府債務・対GDP比率(2011年9月末時点)
先進国 日本 アメリカ イギリス フランス ドイツ イタリア スペイン
220.3% 93.2% 80.0% 81.7% 83.2% 119.0% 60.1%
新興国 中国 インド ブラジル ロシア 南アフリカ インドネシア メキシコ
17.7% 69.2% 66.1% 9.9% 35.7% 26.9% 42.7%

負債比率からは先進国債券の方がリスクが高い

先進国の方が国債の格付けが高いから安全だという理論も見かけますが、格付け機関が信頼に値しないことは、サブプライム債券にトリプルA(最上位格)を付けていたことから明らかです。借金の比率が高いほどやりくりが苦しく、破綻する確率が高いのは、家計も企業もそして国家も同じです。少なくとも負債の面から見れば、新興国の方が先進国よりも低リスクなのです。

最近ではモーニングスターの朝倉代表のように、新興国債券も投資対象にすべきだと主張する専門家も増え出しています。当サイトでも、新興国債券のメリット・デメリットを相殺すれば、投資を検討するに値する存在だと考えています。

債券ファンドも多くの場合、株式と同様に「時価総額加重平均」で各国の割合を決めている所がほとんどです。そのため2011年現在、時価総額加重の世界債券インデックスは約95%が先進国です。但し、外国人の国債投資に制限がある国(中国など)を加味しているので、実際の時価総額ベースでは先進国が約85%と推計されます(※注2)。

故に、債券にも分散投資するのであれば、全体の5〜6分の1を新興国に配分するのがベターでしょう(※注3)。住信STAMやeMAXISなどの低コストなインデックスファンドでは、先進国と新興国の両方のファンドがあり、共に1万円程度から買い付け可能です。これらの投信を使い、例えば先進国4万円+新興国1万円の割合で買付けていけば良いでしょう。

 

※注1:政府債務データ参考サイト tradingeconomics
※注2:参考文献「日本国債先物入門」。2008年の世界の公債市場29.8兆ドルの内、先進9カ国を除く分が5.8兆ドルというデータから推計。
※注3:債券にも、時価総額加重よりベターなファンダメンタルインデックスの概念があるが、残念ながら日本では非売です。

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