シンガポールST(ストレートタイムズ)指数とは?
シンガポールST指数(ストレートタイムズ指数)は、シンガポール取引所の上場銘柄の内、時価総額の大きい30銘柄を時価総額加重平均して算出された指数のこと。通貨単位はシンガポール・ドル。
シンガポール最大の新聞社であるストレーツ・タイムズ社が作った指数で、1998年8月から算出され、同国の平均株価指数となっています。ちなみにストレーツタイムズは、ST指数の上位にも名を連ねる同国最大のメディア会社「SINGAPORE
PRESS HOLDINGS」の傘下にあります。
ST指数の構成銘柄上位10 |
企業名 |
セクター |
ウエイト |
ユナイテッド・オーバーシーズ銀行 |
金融 |
12.0% |
シンガポールテレコム |
通信 |
12.0% |
DBS GROUP HOLDINGS |
金融 |
11.8% |
OVERSEA-CHINESE BANKING |
金融 |
11.0% |
KEPPEL(ケッペル) |
機械 |
4.9% |
WILMAR INTERNATIONAL |
サービス業 |
4.2% |
CAPITALAND |
不動産 |
4.2% |
シンガポール航空 |
航空 |
4.1% |
シンガポール取引所 |
金融 |
3.5% |
SINGAPORE PRESS HOLDINGS |
メディア |
3.0% |
※データはMSCIシンガポールインデックス 2010年3月末時点 |
構成銘柄のウエイトを見ると、業種が極端に金融セクターに偏っていることが分かります。これはシンガポールが金融立国を目指しており、税率を極端に下げて世界中から投資マネーを集めている(タックスヘイブン政策)からです。またユナイテッド・オーバーシーズやDBSグループなど、ほとんどの金融機関が隣国マレーシアやインドネシアなどを中心に、グローバル展開を行っています。
シンガポールは面積は東京都とほぼ同じ程度で、人口も500万人足らずという小国です。資源がほとんど無い上、内需だけではやっていけないので、国を挙げて金融立国を目指しているという背景があります。他に観光や、航空や海運のハブ、バイオテクノロジーなどに力を入れるなど、頭脳を使ってグローバル経済下で勝負している国だといえます。
例えば、シンガポール航空は「サービスの質が世界最高レベル」と高い評価を受けています。シンガポールテレコムは、マレーシア・インドネシア・オーストラリアなどに展開し、契約者数は1億人に迫っており、中国以外ではアジア最大の携帯電話会社となっています。またKEPPEL(ケッペル)という会社、日本では無名ですが油田開発用リグ(掘削装置)で世界最大手であり、売上高も年間1兆円近くある巨大企業です。
このようにシンガポールは、小国ながら世界経済に存在感を示している為、MSCIの区分でも「新興国」ではなく「先進国」にされています。つまり世界のETFでは【EEM】ではなく【EAFE】に入っているので注意です。
政府系ファンド=テマセクの存在
またケッペルやシンガポールテレコムやシンガポールテレコムなど、ST指数の大半の企業に同国の政府系ファンド=テマセクが大株主として名を連ねています。国の機関となる重要企業には政府が関与することで、挙国一致体制でグローバル経済で生き残りを図っています。
ちなみにテマセクは約10兆円を、自国だけでなく世界の有力企業に投資しています。テマセクの投資資金の原資は、自国通貨=シンガポールドルを安定化させる為に「為替介入」することでで積み上がった外貨準備であるといわれています。
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