キプロス総合指数の株価チャートと、上場企業数の推移
2013年3月、ユーロ圏の小国キプロスで預金封鎖が行われて、世界を驚かせました。キプロス経済は、主に観光と金融業で成り立っていましたが、ギリシャ危機の影響で、同国の主要銀行が経営難に陥りました。そのため、ユーロ諸国からの財政支援を受ける必要が生じましたが、その見返りとして、国民にも痛み分けする事が求められたからです。
では、キプロスの金融マーケットは現在、どうなっているのでしょうか?実はキプロスにも、株式市場が存在しています(※注1)。チャートのキプロス総合指数は、1996年3月を100とした指数で、キプロス証券取引所に上場する全ての株式を対象とする指数です。チャートの期間を調整すると、過去にさかのぼってデータが見れます。
キプロス総合指数は、2007年10月に最高値5519ポイントを付けましたが、その後の世界金融危機やユーロ危機の影響で、株価は大幅に下落。そして銀行の経営危機なども相まって、2012年8月には100ポイントを割り込みました。わずが5年半足らずの間で、株価が50分の1以下にまで暴落している事になります。
また、キプロス証券取引所には、金融危機前の2006年末には141社が上場していましたが、年々漸減しており、2013年1月末時点では101社にまで落ち込んでいます(※注2)。金融市場が、完全に機能不全に陥っている事が明らかです。
キプロス証券取引所の年度別上場企業数(各年末) |
2006年 |
2007年 |
2008年 |
2009年 |
2010年 |
2011年 |
2012年 |
141社 |
124社 |
119社 |
115社 |
110社 |
106社 |
101社 |
キプロスは人口80万人程度の小国ですが、ユーロ圏は彼らを救わねばならない理由があります。キプロスの銀行が破綻を起こせば、ギリシャ危機が再燃し、スペインやイタリアなどの大国にも影響を及ぼす恐れがあるからです。
また、キプロスはタックスヘイブン政策(※注3)を取っていた為、同国の銀行にはユーロ圏やロシアなどの大富豪が資金を預けています。銀行が破綻すれば、彼らの資産も大きく減ってしまう為、ユーロ各国への支援圧力は根強いのです。
※注1;日本には、キプロスだけを対象とした投信やETF、また同国の個別株を購入出来るネット証券はありません。
※注2;ソースは、世界の50以上の証券取引所が加盟する World Federation of Exchanges より。
※注3;タックスヘイブンとは、税金を極端に安くする事で、海外の大企業や富裕層から資金を集める国家戦略の事。
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