MSCIコクサイ指数(構成国や業種別割合)
MSCIコクサイ指数とは、株価指標のベンチマーク(世界基準)であるMSCI(モルガンスタンレー・キャピタル・インターナショナル)が、日本を除く先進国の平均株価として定めている指数です。
構成国は当然ながら、世界最大の経済大国・アメリカの割合が高く、全体の半分以上が米国株が占めています。個別の構成銘柄を見ても、NYダウやS&P500指数の上位銘柄がそのまま、MSCIコクサイ指数でも高い比率を占めています。
MSCIコクサイ指数(TOK)の構成上位10銘柄 |
企業名 |
セクター |
割合 |
エクソンモービル(米国) |
エネルギー |
1.9% |
アップル(米国) |
IT |
1.8% |
IBM(米国) |
IT |
1.1% |
ネスレ(スイス) |
生活必需品 |
1.0% |
マイクロソフト(米国) |
IT |
1.0% |
シェブロン(米国) |
エネルギー |
1.0% |
P&G(米国) |
生活必需品 |
0.9% |
ジョンソン&ジョンソン(米国) |
ヘルスケア |
0.9% |
AT&T(米国) |
通信 |
0.9% |
ゼネラルエレクトリック(米国) |
コングロマリット |
0.9% |
※データは2011年9月末時点、TOKの内訳 |
MSCIコクサイ指数をベンチマークとするETFは、アメリカ上場の「iShares MSCI KOKUSAI・インデックス・ファンド【TOK】」が有名です。TOKは、先進国からわざわざ日本を除いていることからも分かるように、日本人投資家向けに作られたETFです。しかし最近では(経済の衰退等を問題視して)日本株を除きたい外国人投資家が売買することも少なくないそうです。
流動性の低さ(出来高の少なさ)が問題
TOKはしばしば、EEM(新興国ETF)やEFA(米国を除く先進国ETF)などに比べて、流動性の少なさが大きな問題点だと指摘されます。確かに時価総額で見れば、インデックス投資家に人気(※注1)のKXI(生活必需品ETF)やIXJ(ヘルスケアETF)よりも大きい位なのですが、一日の出来高はこの両者よりも一桁少ないレベルです。
具体的には2011年10〜12月の、TOKの一日の平均出来高は11329株、株価は平均37.3ドルですから、金額で言えば約42万ドル(約3200万円)です。
一方で、日本に上場しているTOK準拠のETF「上場インデックスファンド海外先進国株式【1680】」は、TOKよりも更に流動性が低いです。同期間の【1680】の平均出来高は一日平均20428株、平均金額は約1880万円に過ぎません。
流動性が低い=出来高が少ないETFは、買いたい時には割高に、売りたい時は割安になりやすく、投資家にとってマイナス材料です。MSCIコクサイ準拠のETFは、日本人投資家にとっては資産運用のベースとして不可欠な存在です。運用会社がマーケットメイクを活発化させるなどして、流動性問題を解消し、安心して投資できる環境を整えて欲しいものです。
※注1:インデックス投資家に愛読されている『株式投資の未来(ジェレミー・シーゲル著)』において、生活必需品やヘルスケアが推奨されているのに起因する。過去の両セクターの利回りは、S&P500指数を大きく上回っている。 |