ゼネラル・エレクトリックの売上高と事業割合
ゼネラル・エレクトリックは、アメリカに本社を構えるコングロマリット(複合企業)です。1896年にニューヨークダウ平均株価が創設されて以来、現在まで採用され続けている唯一の銘柄です。
GEの創業者は発明王=トーマス・アルバ・エジソンであり、元々は家電製品が主力事業です。しかし現在では、航空機エンジンや医療機器や鉄道車両など、ノンコンシューマ製品の売上の割合が圧倒的です。また、インフラ設備(原発などの電力や水道事業等)や金融業なども手がけており、エジソン時代とは経営が大きく様変わりした企業でもあります。
ゼネラル・エレクトリックがコングロマリット企業と変化していった原因は、コンシューマ向け家電事業の収益悪化です。70〜80年代に、ソニーなど日本の家電製品が米国市場を席巻し、競争に敗れたGEは経営危機に陥りました。
しかし1990年代に、カリスマ経営者=ジャック・ウェルチが経営再建に成功させます。ウェルチは事業の選択と集中を行い、利益率の低くなった家電事業を縮小し、同じモノ作りでも高い利益が見込める製品(航空機エンジン、医療機器、原発など)にシフトします。また、高収益が見込める分野へも進出し、特に金融部門は、現在GEで最大の売上を稼ぎ出すまでに成長しています。
ソニーはGEを見習い、家電事業を捨てるべき!?
そしてゼネラル・エレクトリックは、多彩な事業展開を行っている為、経営のリスクヘッジが効いている企業でもあります。2008年の金融危機で、シティバンクやバンカメなどの大手金融機関は、軒並み経営危機に陥り、配当金が無配に転落しました。しかしGEは、金融以外の収益があるため(減配はしたものの)配当金の支払いを維持し続けました。
また、福島の原発事故(※注1)を受け、世界的に反原発の気運が高まっていますが、GEは原発以外にガスタービン発電機器も製造しています。今後、世界の原発割合が増えようが減ろうが、売上を大きく減らすリスクは無いのです。
現在、日本の家電企業は経営危機に陥っています。特に、金融部門やエンタメ部門で何とか延命しているソニーは、かつてのゼネラル・エレクトリックと姿がダブります(※注2)。ソニーは利益が見込めないコンシューマ家電を捨て、90年代のGEを見習って経営の選択と集中を行うべきかもしれませんね。
※注1:メルトダウンした福島第一原発には、GE製の原子炉が使われていた。
※注2:GEにはメディア部門(NBCユニバーサル)も存在したが、経営資源の集中化のために、2013年に完全撤退した。一方のソニーは、エンタメ部門の収益性は高いので、GEの真似をすることが良いとも限らない。
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