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確定拠出年金の特別法人税問題

これまでのページで述べてきたように、確定拠出年金には非常に多くのメリットがありますが、実は一つだけ問題点もあります。それは、現在は凍結されている「特別法人税」の復活です。特別法人税とは、厚生年金基金や確定拠出年金の運用資産全体に掛けられる税金で、年率1.173%の税金が課せられるというものです。

特別法人税が問題なのは、一般の株式投資のように配当や売却益など「利益」に掛けられる税金ではなく、運用口座にある資金全体に掛けられる「資産課税」であることです。本来、株式投資は売却(利益確定)を行わなければ、課税をされませんから、なるべくバイアンドホールドを続けた方が、利回りが高くなります(税金が株式投資に与える影響)。しかし、特別法人税は売却しない場合にも、持ち株に課税される仕組みなのです。

つまり、年間の運用損益が赤字であっても課税されますし、資産全体に課税されるので、資産が大きく増えている(長年掛け続けている)人ほど、多額の税金を支払わされる羽目になります。例えば資産累計が100万円の人なら1万円程度ですが、2千万円・3千万円と増えている人は、税負担は年間数十万円にも達してしまいます!

この極悪極まりない特別法人税ですが、実はあまり深刻に考える問題ではありません。2001年度からずっと一時凍結が続けられており、現在は2011年3月までの再凍結が決まっています。それに、今後も簡単には復活させられない理由もあります。

確定拠出年金の資産運用では、多くの人が銀行の定期預金を主体にしています。日本生命の調査した確定拠出年金の資産配分の平均値は、元本保証資産(預貯金や保険商品)の割合が66%だそうです。同様に企業年金連合会の調査では、元本保証資産の割合が64%と発表されています。これには日本債券ファンドは含まれていませんから、それを含めれば、ほぼ利回りのない安全資産に3/4かそれ以上が割り当てられているのが現状です。

しかしご存じのように、日本のゼロ金利政策によって、銀行の定期預金の利息は1%に満たない状況です。ここに1.173%の特別法人税を課せば、運用利回りがマイナスになり、資産が年々減っていく人が多発することになります。これでは誰も確定拠出年金を利用しなくなりますから、日本の定期預金の利率が最低でも1.5%以上になるまでは、特別法人税の復活はありえないと考えられます。

また、資産課税という極悪税制である特別法人税は、加入者のリスク資産への投資意欲を削ぐ為、金融業界を中心に猛反発を受けています。確定拠出年金だけでなく、通常の企業年金にも課せられる制度ですから、経済界の反発も根強いです。また渡辺喜美・元行革大臣など、金融に詳しい国会議員の中には、特別法人税の完全撤廃(廃止)を訴える人も多くいます。

確定拠出年金の利用者にとって、特別法人税は大きなリスクに感じるかもしれませんが、上記のように政財界からの反発が強いので、いずれは廃止されるのでは?と考えられます。少なくとも当面(日本経済が回復して預金金利が上昇するまで)は復活はあり得ないでしょう。

廃止されなくとも国民年金基金より有利

万が一、特別法人税が廃止されずに復活したとしても、自営業者のもう一つの選択肢・国民年金基金よりも、まだ有利です。国民年金基金のデメリットの項でも述べましたが、現在の同基金の予定利率はわずか1.75%しかありません(新規加入の場合)。

確定拠出年金では、株式などリスク資産を少し組み入れれば、年率3%以上の利回りは十二分に確保できるでしょう。仮に特別法人税が復活して1.173%を課税されても、国民年金基金の現在の予定利率1.75%を上回れる計算です。

ですから、自営業者でこれから新規加入を検討している人は、国民年金基金よりも確定拠出年金を選ぶ方が有利です。新規加入で基金を選んでも良い人は、既に50歳以上でリスクを取りたくなく、向こう数年の節税だけ出来ればそれでよいという人だけでしょう。



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