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イタリアの長期金利(10年物の国債利回り)推移チャート

2011年夏以降、ギリシャを発端とするヨーロッパ諸国の債務危機が叫ばれています。ギリシャの次に財政が危ない国として、イタリアやスペインの名が挙がっています。ではイタリアの長期金利(10年債の利回り)チャートを見てみます。


Source: tradingeconomics.com

投稿執筆時(11年11月初旬)、イタリアの長期金利は6%ほどです。他の先進国と比べれば高いですが、まだ危険水域とまでは言えません。上記チャートの開始年を動かせば分かりますが、1995年にはイタリアの長期金利は10%を超えていましたし、アメリカでも80年代前半は10%を超えていました。

但し、もしイタリアも債務危機に陥れば、マーケットに与える影響は桁違いです。イタリアとギリシャでは、人口が約5.5倍、GDPは約6倍もの差があり、国債残高もギリシャの5.6倍(1.9兆ユーロ=約200兆円)との推計です。ギリシャの救済ですらユーロ圏では散々揉めているのですから、イタリアの救済となれば、IMFが多額の支援をするしかありません。

しかし、IMFだけで支援出来るかというと、十分では無い可能性もあります。例えばアジア通貨危機の際、IMFなどの国際機関が韓国へ支援した総額は580億ドル(約6兆円)です(※注1)。現在のイタリアの国債残高=約200兆円全てが債務不履行になる訳ではありませんが、仮に2割がデフォルト相当だとしても約40兆円ですから、桁が違いすぎます。またイタリアがデフォルトすれば、金融マーケットが大混乱に陥り、アメリカや日本なども資金を融通する余裕は無くなるでしょう。そんな状況では、IMFや世界銀行など国際機関が総力を挙げても、救済できる保証が無いと考えられます。

11月初頭、IMFは500億ユーロの支援を申し入れたものの、イタリアはこれを拒否し、代わりにIMFの監視を受け入れました。この監視の下、財政再建を図るというものですが、それだけで財政危機を回避するのは難しいでしょう。

イタリアにしてもギリシャにしても、ユーロから脱退すれば、少なくとも国内の債務は紙幣発行による返済でチャラに出来ます。そうしたうえで、対外債務についてIMFなどからの支援と、外国の債権者(ユーロ圏の金融機関など)に一部債権放棄に応じてもらうことでしか、解決できないと思われます。デフォルトは巨大風船と同じで、先延ばしにすればするほど、破裂した時のダメージが大きくなります。影響が大きくならないうちに、危険な国は早くユーロから離脱させて欲しいものです。

 

※注1:IMFが210億ドル、日本も単独で100億ドルの支援を韓国に行いました。

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