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外国債券をFXで代用する方法

これまで様々なページで解説したように、外貨預金や外国債券は、金利は高いものの、手数料(隠れコスト含む)の高さが問題であることを指摘しました。しかし、外国債券投資のコストを、極限にまで押さえる方法も存在します。

・関連ページ⇒外貨預金とFX・MMF・外国債券の比較

それはFX(外為証拠金取引)を外債の代用として活用することです。FXと聞けば、円高・円安を利用して為替差益を得る商品で、ハイリスク・ハイリターンだと思われがちですが、そうではありません。使い方によっては、極めてローリスクな投資も可能です。

FXがハイリスクなのは、レバレッジ〜自己資金の数倍の取引を行う場合のみです。レバレッジは、株式投資の信用取引と同じです。レバレッジを1倍〜つまり自己資金の範囲内で売買するのであれば、FXのリスクは外貨預金や外債投資と全く同じです。

そしてFXには「スワップ金利」と呼ばれる、外債投資の利息に相当するものがあります。例えば円売り=豪ドル買いのFX取引を行えば、豪ドルの債券に投資するのと同じように金利が貰えます。しかも、金利は豪ドル債券よりも高めです。

現在(※注1)豪ドルの長期金利は4.3%ほどで、銀行や証券会社で販売されている豪ドル既発債の利回りを調べた所、大体3.9〜4.5%ほどです。一方、人気の外為FX会社・マネーパートナーズでは、豪ドル=円のスワップ金利は一日98円で、年率に直せば4.77%相当です。手数料(※注2)を換算しても利回りは4.67%となり、外債投資よりも有利です。

これは、外国債券の金利が、表面上に現れない手数料が引かれているからです。FXの場合、各社の競争が激しいので、手数料は極限にまで低く押さえられています。

あくまで日本がゼロ金利が続くことが前提

但しこの方法は、一つ注意点があります。FXが外債投資の代用として機能するのは、日本がゼロ金利政策が行われているからです。FXのスワップ金利は「両国の金利差相当分」が得られるというルールです。現在、日本の政策金利がほぼゼロ(0.1%)で、オーストラリアが4.75%だから、豪ドル買いをすれば、差額の約4.6%相当が得られています。しかし、例えば日本の政策金利が1%上昇すれば、豪ドルFXで得られるスワップ金利は3.6%に目減りします。

一方で外国債券の場合、その債券に約束された金利は(発行元が破綻しない限り)必ず支払われます。豪ドル債券を買う場合は、日本の金利が上がろうが下がろうが、金利には全く関係ありません。

つまり、FXが外債投資の代替として機能するのは、日本国の政策金利がゼロのまま変わらないことが前提となります。日本の金利が上がれば上がるほど、FXの外貨買いで得られるスワップ金利は減少していきます。

とはいえ、日本の金利が上昇することは、当面あり得ません。ただでさえ経済成長が世界最低水準だったのに加えて、東日本大震災の影響で、日本の景気回復は当分望めない情勢です。当サイトで主張しているように、日本経済を救うには、インフレターゲットを導入して計画的にデフレ脱却(=円安)を推進することが必要ですが、現在の日銀や財務省は、それを行う意志は全くありません。

おそらく日本の金利が上がるときは、政府の財政破綻が起こる時でしょう。その場合、金利が数十パーセントに跳ね上がり、インフレ率が100%超・1ドル200円以上の超円安が起きていることでしょう。そうなれば、FXで外貨買いしていれば、円安の利益よりも、100%を越える強烈なマイナススワップが発生して、大損する可能性が高いでしょう。

よって、外債投資をFXの外貨買いで代用する方法は、あくまで日本のゼロ金利が続く限り、短〜中期的な戦略だと言えます。10年以上の長期で外債投資するのならば、日本破綻リスクにも対応できる、外国債券もしくは外債ファンドにすべきでしょう。

※注1;2011年9月下旬時点の数値。スワップ金利は長期金利の推移などを基準とされ、比較的頻繁に変動しますのでご注意を。
※注2;マネーパートナーズでは現在、豪ドルの売買スプレッドが約4銭(売買手数料は無料)、現在のレートは1豪ドル=約75円ですから、往復のコストは0.1%程度に過ぎません。




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