債券価格と利回りの関係は逆相関になる
債券において、初心者の疑問として最も多いのが「債券価格と利回りの関係」でしょう。なぜ価格が上昇すると、利回りが下がるのかが分からないというものです。
最初に断っておきますが、個人投資家が日本国債に投資する場合、個人向け国債か日本債券を対象とする投資信託になり、現物の国債に投資する事はありません。従って以下の説明は、個人投資家にとっては関係ない話なので、理解ぜずとも別に問題ありません。知識として一応、債券市場がどのように動いているのかを説明しておきます。
債券価格は「利回り」という形で表し、表面上の「利息(利率)」では表しません。個人向け国債の場合「第○回:利率○%」というように、必ず利率が表記されるので、何故それが無いのかが分からない方も多いでしょう。
その理由は、債券というのも株式と同じで、市場で売買される事にあります。個人向け国債は、途中換金するには国に買い取って貰うしかありません。しかし一般の国債は機関投資家同士が売買する「マーケット」があり、自由に売買がされているのです。
従って、債券の価格というのは、その時々の人気によって変動するので、表面上の利息は意味を成さないのです。例えば【額面1万円・利息=年率5%】の国債があったとしても、額面1万円の債券は市場取引によって、9900円で売られたり10300円で売られたりと、人気によって価格が変動するのです。
債券を買いたいという人が増えれば「額面1万円だけど、俺は1万100円で買い取るよ」という人が出てきます。すると、この債券の実質的な利回りは【(元本1万円+利息500円)÷10100円=3.96%】となり、本来の5%よりも下がります。つまり、人気が集まれば『債券価格が上昇』しますが、購入金額がかさむ為に『利回り』は下がるのです。
これが『債券価格が上昇すると、利回りは低下する』という意味です。一言で表すと、価格と利回りは逆相関になるということです。一般的に、株式市場が暴落する時には債券に人気が集まり、株式が好調の時は人気が下がります。
そして、例えば「利息が年5%の国債」と「年1%の国債」の両方があったとしても、どちらを買っても利回りは等しくなります。高利息の債券には人気が集まって価格が上昇(利回りは下落)し、一方で低利息の債券は人気がないので価格が下落(利回りは上昇)します。機関投資家は常に、より有利な売買(裁定取引)を行おうとしますから、必然的にどの債券も同じ利回りに落ち着くのです。この原理の解説は、長くなるので別途ページを設けて行います。
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