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中国の長期金利(10年物国債の利回り)推移

ご存知のように、中国という国の経済は、資本主義と社会主義が混在しています。そして中国政府は国債を発行しており、それが売買される債券市場も存在しています。

中国の長期金利(10年債の利回り)の推移は、2008年前半までは4.5%程度ありましたが、リーマンショックにより一時は2.5%近くまで急落しました。アメリカや日本と同様、投資家がリスク回避に出た(株を売却して安全資産の国債を購入)ことが理由です。債券に買いが集まると、価格は上昇して、利回りが下落します(債券価格と利回りは逆相関になる)。

2010年あたりからは、中国の長期金利は4%前後で推移しますが、2013年の夏には3.6%程度から4.2%近くにまで、金利が急騰しました。この時期は、日本やアメリカでも長期金利は上昇していますが、中国ではシャドーバンキング問題(※注1)が表面化したことも拍車を掛けました。多くの投資家が、将来の金利上昇を予測して国債売却を進めたことが、原因と考えられます。 但し、これでもスペインイタリアと比べれば、長期金利は低位で推移しており、安全な水準だといえます。


Source: tradingeconomics.com

中国国債の格付けは、S&Pが「AA−」、ムーディーズが「Aa3」、フィッチ・レーティングスは「A+」で、3社とも日本国債と同じランクに格付けしています(2013年7月現在)。この格付けは、ドイツなど最高格付けよりも1〜2ランク下というクラスで、新興国の国債としては最高の位置です。なお当然ですが、中国国債は全て人民元建てでの発行となっています。

また中国の国債発行残高は、2012年末現在で約8兆元(1兆3000億ドル)、対GDP比で20%程度という規模です。日本の対GDP比200%というのは別格にしても、アメリカやヨーロッパ各国も100%前後であることと比較すれば、中国の国債市場は極めて健全な水準です。この事が、長期金利が安定していて、先進国並の格付けを得ている理由です。

格付けは高いが、シャドーバンキング問題が大きなリスク

日本の個人投資家も、実は「電子式貯蓄型国債」という形の、中国の国債を購入することが可能です。電子式貯蓄型国債は、外国人投資家でも購入可能となっており、中国本土の金融機関(中国工商銀行やHSBCなど)に口座を開設すれば、購入できます。金利は日本の国債よりも遙かに高いうえに、人民元の切り上げによる為替差益も狙えます。

しかし、単純に中国の国債が投資対象として有望かと言えば、そうとも限りません。特に、シャドーバンキング問題により不動産バブルが崩壊すれば、中国経済にとってはリーマンショック以上の悪影響が起きるリスクすらあります。その場合、中国政府は景気浮揚のために、人民元切り下げを行ってくる可能性も十分考えられます。もし人民元が切り下げられれば、日本の投資家から見れば、国債の金利など吹き飛ぶくらいの、莫大な為替差損が生じるリスクがあるのです。

中国の国債は、格付けや長期金利の数値以上にリスクが高い、と考えた方が良いでしょう。

 

※注1:中国版のサブプライムローン問題とも言われるほど、リスクが高まっている⇒シャドーバンキング解体新書

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