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豪ドルFXの注意点

豪ドルのFXは、日本の投資家に最も人気の通貨の一つです。その理由は、オーストラリアは先進国の中でも金利が高いために、円売り豪ドル買いポジションを保持していると、スワップ金利が得られるからです。円高も円安もなく、為替差益がゼロであっても、スワップ金利分は確実に収益があがることが人気なのです。

リーマンショック前には、米ドル円でもスワップ金利が約5%もありましたが、2014年現在はアメリカもゼロ金利制作に突入しており、利上げはしばらく先になりそうなので、当面はスワップ金利による収益は望めません。その点、豪ドルは2〜3%のスワップ金利があります。しかもオーストラリアは先進国なので、同じく高金利通貨である南アフリカランドやトルコリラに比べれば、値動きが激しくないので、比較的安全にスワップ金利を狙えます。これが、豪ドルFXの人気が高い理由です。

しかし、人気の豪ドルFXにも様々な注意点があります。以下に挙げるリスクを知らずして豪ドルFXに挑むと、大きな損失をする恐れもあるので、要注意です。

まず豪ドルの値動き(為替レートの変動)は、我々になじみ深い米ドルやユーロなどに比べれば、遙かに激しいという問題があります。南アフリカランドやトルコリラに比べればましですが、それでも一日で10%近く円高が進むことは十分あり得ます。詳しくは豪ドル円の為替チャートと一日の変動率のページにありますが、リーマンショックのような大型の金融不安が起きると、一日で10%を超える円高が起きた事例が実際にあります。

オーストラリアドルは、米ドルやユーロのような実需が豊富な通貨ではありません。豪ドルの為替変動の多くが投機、それも円キャリートレード(円売り豪ドル買い)で構成されています。故に金融不安が起きると、円キャリートレードの手じまい売買が激増するので、為替レートは急激な円高=豪ドル安に動きます。ですから、スワップ金利狙いのFX投資でも、高いレバレッジを掛けるのは極めてハイリスクであることには注意です。

二つ目の注意点は、日本(日銀)の金融政策です。スワップ金利は2国間の金利差をベースに決まりますので、オーストラリアの政策金利が一定でも、日本が利上げすれば、スワップ金利は減少します。同時にそれを嫌って円キャリートレードを手じまいする投資家も増えるので、円高=豪ドル安に為替レートが動く可能性が高いです。

2013年より黒田日銀総裁は、インフレターゲットを導入し、将来的に日本国内をインフレに誘導することを明言しています。日銀の目論見通り、2%前後のインフレが達成できそうになれば、日銀は利上げを行ってきます。そう遠くない将来、日本もゼロ金利政策の解除が起きる可能性があり、そうなれば豪ドル買いFXは、円高とスワップ金利の減少という、二重の問題が発生するリスクがあるのです。つまり、日本の金融政策にも注意しておく必要があるのです。

この注意点は、他のスワップ金利狙いが多い通貨〜特にニュージーランドドルなどでも同様です。

オーストラリアドルと中国経済の関連性

オーストラリアの輸出相手と割合そしてもう一つ大きな注意点として、豪ドルの為替変動要因は、オーストラリア国内の情勢だけでなく、実は中国経済の影響も大きく受けることが挙げられます。オーストラリアの輸出総額(約2500億豪ドル。2012年。以下同年)のうち、60%以上(約1570億豪ドル)が鉄鉱石や石炭などの鉱産資源が占めています。そしてオーストラリア最大の輸出相手はそれら鉱産資源の大量消費国である中国(輸出の約30%、730億豪ドル)です。

中国のGDPは、半分近くが総固定資本形成(公共事業)で成り立っています(※注1)。即ちオーストラリアの輸出産品である鉄鉱石や石炭など、鉱産資源を大量に消費します。従って中国経済が減速することは、資源の消費量が減少することになり、オーストラリアの輸出による利益が大幅に減る可能性が高いのです。この事を材料に、豪ドルの為替レートは、中国の経済指標の発表(GDP統計)に大きく影響を受けます。

よって豪ドルFXを行うときは、オーストラリアの経済や金融(政策金利の上下)だけでなく、中国経済の動向にも注意する必要があります。特に2013年以降、中国ではシャドーバンキング問題により不動産バブル崩壊のリスクが取り沙汰されています。中国の不動産市場が崩壊すれば、公共投資は激減し、オーストラリアの輸出が減るというストーリーの元、豪ドルが売られ急激な円高が起きる恐れがあります。一見オーストラリアと何の関連性もなさそうな中国経済の問題が、実は豪ドルの為替レートに大きく影響し、FX(特にスワップ金利狙い)で重要な問題になるのです。

 

※注1;参考サイトは中国のGDP内訳(個人消費・設備投資・輸出)〜BRICs辞典

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