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リスク回避の円高進行〜は嘘

2008年の金融危機以降、急激な円高が進んでいることは、皆さんご存じの通りです。しかし、この円高に対するメディアの解説が、非常に的外れであるので、訂正喚起する意味で当サイトで真実を解説しようと思います。

一般的には、この円高はリスク回避の行動だと説明されています。株式などのハイリスクマーケットから資金が流出し、金や円などの安全資産に待避しているとのことです。確かに「金」は有事の際の逃避先として、古今東西問わず安全資産の代表格としての地位を確立しています。ですから金価格の高騰は、投資家のリスク回避行動であると断定できます。

しかし日本円については、安全資産だからマネーが集まっている訳ではありません。投機対象として、円に資金が集まっているのです。なぜなら、いくら円高になろうとも、政府も日銀も根本的な対策を取らないでいるからです。

為替介入など無意味であり、日銀が金融緩和(カネを刷って国債などを買い上げる)をすれば、簡単かつ100%確実に円安誘導が可能です。ところが日銀は、自分達の利益と保身(※1)を優先して、全くカネを刷ろうとはしていません。そして日本の政治家達も、ほとんどが金融音痴で、日銀の横暴をコントロールできる気配は全くありません。だから、投資家〜特にヘッジファンドなどの投機筋が、躊躇なくドル売り=円買いを行っている・・・このことが円高の本当の原因なのです。

金融危機以降、世界各国は金融緩和を急ピッチで進めました。特にアメリカの中央銀行=FRBは、量的緩和政策(QE1&QE2)で合計2.3兆ドルにも及ぶマネーを市場に投入しました。一方で日銀は、数度の金融緩和を行ったものの、各回とも数千億〜数兆円程度と規模が小さすぎて、実体経済に影響を及ぼすレベルではありませんでした。日銀は「緩和のポーズを取った」だけで、本気で為替対策を取っていないのです。

ハイリスク・ローリターンの円に逃避資金が集まるはずがない

この日銀の姿勢はマーケットの常識となっており、早い話が日銀は、世界の投機筋から「どうせ何も対策しない」と舐められているのです。放っておけばどんどん円高ドル安が進むので、どんどん為替差益がふくらむ・・・だから投機筋は円買いを続けているのです。

アメリカでは景気対策でマネーをジャブジャブ投入しているのに、日銀は何もしない・・・これが近年のトレンドです。アメリカでマネー量が激増しているのに、日本では増えていないのですから、相対的購買力平価(※2)にならって、円高ドル安が進んでいるのです。

そもそも日本はゼロ金利なので、日本円を持っていても資産は増えません。日本の長期金利は1%前後と世界最低ですが、アメリカやドイツ・フランスなどの長期金利は3%前後ありますから、積極的に投資される環境に無い事は明らかです。ましてや日本は、対GDP比で主要国最悪の借金大国です。国債のデフォルトが迫っているのに、金利はほぼ付かないのです。ハイリスクなのにローリターン・・・こんな国が、資金の逃避先になるでしょうか?一体、日本円の何処が安全資産なのでしょうか?

冷静に見れば、日本が資金の逃避先になる訳が無いことは明白です。円高の理由は、資金逃避ではなく、ヘッジファンドなどの投機筋にターゲットにされているからなのです。

※1:日銀は金融政策を自由に決められる=意図的にデフレ&円高を続けられるので、日銀関係者は為替(円買い)や国債の売買で、好きなだけ儲けられます。また彼らは金持ちなので、デフレになればなるほど資産価値が増えるため、デフレ大歓迎なのです。
※2:購買力平価は為替変動の一要因に過ぎません。しかし、この時点で日米は共にゼロ金利なので、金利差によるキャリートレードが発生しないので、相対的購買力平価だけが影響を及ぼします。





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