トルコリラ=円の為替レート推移チャート
トルコは古代ローマ帝国の時代より、東洋と西洋を中継する都市として発展してきました。コンスタンティノープル(現イスタンブール)は1000年以上に渡り、世界最大の交易都市として栄えてきました。しかしその後は、産業革命〜工業化の波に乗り遅れ、現在ではMSCIの分類では「新興国」に位置しています(※注1)。
下記チャートは、トルコの通貨=リラと日本円との為替レート推移です。当稿執筆時(2015年6月中旬)のレートは、1リラ=約45円で、2010年以降は概ね50円前後で推移しています。またトルコリラの為替チャートは、2005年以降で見ないと意味がありません。というのは、90年代からトルコは慢性的なインフレ=通貨安が続いており、2005年1月1日より100万リラ=1リラという極端なデノミを行ったからです。
そのため、2005年以前のレートもチャートに起こすと、右のような対数表示でないと入らないほどの極端なグラフになります。ちなみに1991年初頭には、1リラ=46000円でした。桁が大きい為、トルコ国内の日常生活ではリラの下の通貨単位クルシュが主に使われていました(1トルコリラ=100クルシュ )。
90年代半ばに欠けて、経済政策の失敗などで通貨価値は暴落していき、1997年には1リラ=1000円を割る水準にまで円高リラ安が進みます。その後、アジア通貨危機やLTCM破綻⇒ロシアデフォルトなど、90年代後半の世界的金融不安で更にリラの価値は下落していき、トルコ国内は極端なインフレと財政赤字で経済低迷が続きました。
高インフレが続く限り高金利だが、円高リラ安で為替差損に!?
IMFの融資を受けるなど立て直しを図るものの上手くいかず、2005年にデノミを行ってからようやく通貨価値が安定しはじめ、経済も好調に回り始めました。とはいえ、近年になってもインフレ率は10%近い数値が続いており、新興国の中でも高めです。相対的購買力平価に習うのであれば、為替レートは円高リラ安が続くことになります。
日本国内で投資できるトルコリラに関する金融商品として、リラ建て債券やトルコリラFXがあります。共に金利が高いことが魅力ですが、上記のように高いインフレ率(=通貨価値の下落)の代償としての高金利に過ぎません。円高リラ安が進めば、高金利が為替差損で吹き飛ぶリスクがあることに注意が必要です。
なお2015年5月からは、東京金融取引所の「くりっく365」にもトルコリラが上場しました。しかし、外為どっとコムやセントラル短資などの一般の証券会社と比べて、スワップ金利が不利なのでお勧めできません。利用者も伸び悩んでいるようで、人民元やインドルピーのようにいずれ上場廃止される可能性も高いと思われます。
※注1:従ってトルコはMSCIエマージング指数の対象国に入っています。
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