豪ドル円の為替チャートと一日の変動率(1990年以降)
オーストラリアの通貨=豪ドルは、先進国の中では特に金利が高い傾向にあります。それが理由で、豪ドル債券への投資や、円売り=豪ドル買いのスワップ金利狙いFXを行う投資家が、非常に多い通貨です。当サイトをご覧の方の中にも、オーストラリアドルへ投資している人も多いでしょう(⇒豪ドルFXの注意点)。
しかし豪ドルは、非常に変動幅(ボラティリティ)が大きな通貨なので、注意しておかないと急な円高により大きな損失を出すリスクもあります。ゆえに豪ドルの為替レートが一日でどの程度の変動をする可能性があるのか、事前に知っておくことが、特に重要になります。まずは、1990年以降の豪ドル=円の為替レート推移チャートを見てみましょう。

ご覧のように、豪ドルのレートは過去20年ほどの間で、一定の範囲で変動するボックス相場を形成していることが分かります。1豪ドル=100円まで行くと円安のピークで、1豪ドル=60円が円高の上限だと見て取れます。過去に60円水準まで円高が進んだ際の出来事は、1995年は豪ドルだけでなく、アメリカドルに対しても当時の史上最高値(1995年4月19日の79円75銭)を記録する、円の独歩高相場の時代でした。この円高の原因は、バブル崩壊による景気の低迷に加え、1994年に中国が人民元の切り下げを行い、日本の輸出が壊滅的被害を被ったことです。
次に2001〜2年頃の円高は、ITバブル崩壊の余波と9.11同時多発テロがあったため。そして2008年はリーマンショックの影響です。これらは世界経済に大きな悪影響を及ぼし、世界の投資家マインドを冷え込ませ、リスクヘッジの動きを加速させました。この頃、日本がゼロ金利政策を行っていた(1999年2月から)為に、世界中の投資家が円で資金調達をして他の金融商品で運用するという「円キャリートレード」が拡大していました。豪ドルFXはまさにその典型で、円売り=豪ドル買いによるスワップ金利狙いのトレードが激増していました。それが9.11テロやリーマンショックで、一気に円キャリートレードの解消が起こり、急激な円高が起きたのです。
強引に結論付けると、豪ドルの為替レートは、もしキャリートレードが無ければ60円前後が適正レートだとも見て取れます。しかし日豪の金利差がゼロにならない限り、必ずキャリートレードは発生します。故に60円まで円高が進むのは異常時で、適度にキャリートレードが発生して、1豪ドル=80円程度の状態が正常値だと推計するのが正解でしょう。実際に1991〜2013年の平均レートを計算すると、1豪ドル=81.38円でした。
そして豪ドルが一日にどれだけボラティリティがあるのかという、変動率をグラフにしたものが下記です。ちなみに1991年〜2013年の一日の変動率の平均は0.59%でした。

円高への変動の方が急激に進みやすいので注意
豪ドルが最も変動の大きかった日は、2008年10月6日の-11.83%、前日には1豪ドル=81.9円だったのが72円台までおよそ10円近く円高が進みました。2番目に変動が大きかった日は、同じく2008年の10月14日の+10.97%=一日で1豪ドル=64円台から72円台まで円安が進みました。その他、変動率が大きかった日のトップ5は全てリーマンショック直後の2008年10月に記録しています。この時期は金融不安に加え、世界各国が急激に利下げを行った時期でもあり、とにかく為替レートがボラティリティの高い時期でした。
リーマンショックの影響を排除した時期(2008年と09年を除く)で言うと、一日で最も変動率が大きかったのが豪ドル安は2007年8/16の+7.21%(およそ7円の円高)で、豪ドル高は2011年3/18の4.38%(3.4円の円安)でした。リーマンショックのような巨大金融危機が無くとも、上下5%程度の変動リスクはあると注意しておく必要がありますね。特に円キャリートレードの影響が大きいため、一日で急激にレートが変動する場合の多くは、円高方向へです。
オーストラリアドルのFXや豪ドル債券に投資する際は、常に急激な円高リスクに注意し、余裕を持った資金量で行うべきですね。
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豪ドル円の為替レート変動データ |
期間1991年1月初頭〜2013年12月末 |
総データ日数 |
5783日 |
平均変動率 |
0.59%/日 |
変動幅1円未満 |
4973日(86.0%) |
1日2円以上円高 |
85日(1.47%) |
1日2円以上円安 |
46日(0.8%) |
1日3円以上円高 |
23日(0.4%) |
1日3円以上円安 |
8日(0.14%) |
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※注意:為替市場は株式市場と異なり、世界中で取引されている〜つまり24時間開かれているため、各日のデータは米国時間の日付基準で区切ったものです。
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