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プラザ合意(ドル売り協調介入)再来の可能性

2015年秋現在、米国は世界の主要国で唯一経済が好調に推移しており、FRB(中央銀行)が政策金利の利上げを行う意向である事が伝えられています。一方で、後述するように他の主要国で利上げできそうな国は見当たらないため、金融市場では米ドルへの投資が集まり、ドルの独歩高が進む可能性が高まっています。もし過剰にドル高が進めば、1985年のプラザ合意の再来、つまり主要国が協調して為替介入を行い、ドル安誘導を行う可能性も出て来ます。

日本はゼロ金利に加えて日銀の量的緩和も継続中、ヨーロッパ(ユーロ圏)もギリシャ危機の影響でゼロ金利&量的緩和中です。新興国もブラジルはサッカーワールドカップの失敗などから未曾有の不況、ロシアは原油安でデフォルトの危機です。そして中国は、上海株式市場の崩壊やシャドーバンキング問題に耐えきれず、2015年8月に「究極のカンフル剤」と言える人民元の切り下げを行ってきました。

このように、主要国で利上げを行える環境の国が見当たらない中、米ドルだけが利上げしていけば、キャリートレード(他の通貨との金利差益を狙った投機マネーのドル買い)が加速して、為替マーケットではドル高が進行します。

しかし、過度のドル高は米国景気にとってマイナス要因です。リーマンショック後の2009年には、世界で通貨安戦争が始まったように、21世紀は基本的に自国通貨安の方が(貿易黒字を稼げるなどの理由で)国益になる時代です。

アメリカはシェールガス革命の影響でエネルギーを自給できるようになったため、特に巨額な輸入品は必要なくなってきており、為替がドル高になるメリットは薄いです。FRBや米国政府は、心情的には国内景気をコントロールする為に徐々に金融引き締めを行っていきたいが、利上げを行えばドルの独歩高が進んで経常赤字が拡大するリスクが高まる、というジレンマに陥りつつあります。

ただし、利上げを行いつつもドル高を抑制するという都合の良い政策が一つだけあり、それは世界が一団となって「米ドルの切り下げ」とでも言うべきドル売り協調為替介入を行う事です。この政策の前例が、1985年のプラザ合意です。

トランプ大統領がドル売り協調介入を強要すれば、1日で20円の円高も!?

プラザ合意の1985年当時、アメリカは2度のオイルショックの対策で金利が高止まりしており、一方でインフレで経済が疲弊していました。日本などからの輸入品が国内産業を駆逐し始めており、その影響で経常赤字が急拡大しており、何とかしてドル高を防ぎたかったのです。そこで当時のG5(先進5か国蔵相・中央銀行総裁会議。現在のG7)で、ドル売りの協調介入を行い、アメリカの経常赤字縮小を目論んだのです。

ストレートに言えば、プラザ合意はアメリカ合衆国が自国の都合で為替レートをコントロールする事を世界に強要する、ジャイアンリサイタル的な強引な要求でした。日本もG5の一員でしたが、今も昔もアメリカの意向には逆らえないので、プラザ合意のドル安協調介入に参加し、急激な円高を容認せざるを得ませんでした。そして日本は、円高で貿易黒字が抑制される一方で、国内でカネ余りを招き、不動産バブル・株価バブルの原因になりました。

ちなみに1985年のプラザ合意では、政策発表の一日だけで約20円の円高が起き、1年で1ドル=240円前後から160円前後まで、2年後には1ドル=120円と2倍水準までの急激な円高が起きています。現在プラザ合意を行ったとしても、半値レベルの円高(1ドル60〜70円)は起きないと思われますが、短期的には協調介入の電撃発表で一日で20円レベルの円高が起きるリスクは十分あり得ると考えておくべきでしょう。投機マネーはトレンドフォローで動くので、為替介入で巨額の円高ドル安圧力が確実に発生するとわかれば、一斉にドル売り・円買いに走ることは間違いないからです。

・関連;ドル円レートの一日の変動幅(最大値・平均値など)

もしアメリカが、再びプラザ合意のような米ドル切り下げ介入を要求してくれば、日本経済も80年代後半の再来になる可能性があります。アベノミクスとオリンピック特需で東京圏で不動産バブルが進行している今、第二のプラザ合意で円高がぶり返せば、一気に景気に冷や水が浴びせられ、バブル崩壊のリスクが高まるという構図です。

※2017年追記;アメリカ第一主義をスローガンに掲げるトランプ大統領が誕生しました。よってドル高が進行すると、豪腕トランプの独断で、世界にドル売り協調介入を強要する可能性はさらに高くなったと言えます。

日本は基本的にアメリカの意向には逆らえません。中国は、米ドルが切り下がれば自動的に円やユーロなどに対して元安になるので、協調介入を歓迎するでしょう。中国以外にも、ドルペッグやそれに準ずる為替政策を取るインドやベトナムや中東諸国なども、ドル安に反発する動きは見せないと予想されます。つまり、ユーロ圏の同意さえ付けられれば、第二のプラザ合意=米ドル安誘導の協調介入は実現可能です。

トランプ大統領は、いざとなればプラザ合意の時のように、世界的合意の元で、ドルの切り下げ介入をすればよいという思惑は間違いなく持っています。2016年以降、FRBの利上げの影響で為替レートが一方的に円安&ドルの独歩高が進めば、アメリカがドルの切り下げ協調介入を要求してくるリスクがあるという事は、投資家として十分注意しておくべきでしょう。

 

 

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