ニュージーランドドルの変動が大きい理由は、マーケットが極端に小さいからです。例えばニュージーランドは人口約440万人と、オーストラリアと比べて5分の1程度です。GDPで比較すると、アメリカの100分の1程度の規模しかありません。人口やGDPを考えると、極めて小さな経済圏なので、ニュージーランドドルの流通量も同様に小さいことは理解できると思います。
このようにマーケットの分母が小さいため、少しのマネーの変動で為替レートが大きく動いてしまい、NZドルの為替レートは変動率が高いのです。ニュージーランドドルの一日の平均変動率は0.91%ほどで、豪ドルの0.59%に比べてボラティリティが大きいです。
但し、面白いことに一日単位の最大変動率では、NZドルよりも豪ドルの方が激しいという統計があります。再び豪ドル円の為替チャートと一日の変動率のデータと比較しますが、1991年〜2013年の一日の変動率が最も高かった日は、NZドルは−9.47%でしたが、豪ドルは−11.83%でした(日付は共に2008年10月6日)。豪ドルは2番目に変動が大きかった日でも+10.97%と、1日に10パーセント以上動いた日が何度かありましたが、ニュージーランドドルは一日もありません。
NZドルはマーケット規模が小さいので、豪ドルのように機関投資家の投機マネーが大量に流れ込む事が無いのが、一日の変動率がさほど大きくないことの理由でしょう。但し、中長期的に見れば経済の安定度などの差が出て、NZドルの方が変動が激しくなるという事です。
ちなみに、NZドルの為替変動の大半が、スワップ金利狙いの投機マネーの動きによるものなので、貿易などの実需の変動や、国内景気による直接的影響はほぼありません。従って、ニュージーランドの経済指標で注目すべき点は、スワップ金利に影響する「政策金利」の変更だけだと言えます。ニュージーランド準備銀行の金利発表時には、投機マネーの動きが活発になるので、特に注意が必要です。
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