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豪ドルが高金利な理由

オーストラリアドル(豪ドル)は、伝統的に高金利通貨として有名です。日本ではFXを使い、外貨預金代わりにオーストラリアドルをロング(円売り=豪ドル買い)を続けている投資家は非常に多いです。2015年9月現在、FXでは米ドルもユーロもスワップ金利は無いも同然の状態ですが、豪ドルだと年2%以上の金利が得られるので、投資家にとっては魅力的です。

では、世界的な超低金利時代なのに、豪ドルがこれだけ高金利な理由は何なのでしょう?そして、豪ドルに投資し続けるリスクは無いのでしょうか?

豪ドル円の為替チャートと一日の変動率
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豪ドル債券(≒長期金利)の利回り推移グラフ

豪ドルが高金利な理由として、当然ながらオーストラリアの長期金利(10年債利回り)が高いからであり、それは中央銀行であるオーストラリア準備銀行が恒常的に政策金利を高く保っているからです。正確には、高金利でないと国債が買われないからだと言えます。

オーストラリアは広大な国土があるにも関わらず人口2千4百万人程度、日本の約20倍の国土に5分の1の人しか住んでいません。またMSCIの分類では「先進国」に属していますが、例えばG7の国々と比べるとはるかに小さく、最も小さいカナダ(3500万人)の3分の2程度に過ぎません。

また、鉄鉱石や石炭など豊富な資源のおかげで、2014年の一人当たりのGDPは約6万ドル(世界5位)とG7のどの国よりも多いです。しかし、世界的な工業製品・製造業を持つわけでもなく、また英米のように世界的なサービス業が発展しているわけでもありません。

人口が少ないために内需が小さく、一方で世界に通用する強力な産業も無いため、経済が資源の輸出頼みなのが現状です(輸出の6割強が天然資源)。オーストラリアは実は先進国の中でも、経済の内情は見劣りする存在です。

従って、他の先進国ほど信頼性は高くなく、高金利にしないと国債が売れないのです。豪ドルが高金利な理由の一つ目は、通貨の(=オーストラリアという国自体の)信頼性が他の先進国より不安定ゆえに、必然的にそうなっている訳です。

もう一つの理由は、オーストラリア政府が、産業育成と人口増加を図るために、意図的に高金利を保っているという側面です。金融やサービス業など、新しい産業を育成するためには、海外から投資マネーを呼び込む必要がありますから、高金利を保って高いリターンを設定しておく必要がある訳です。また、オーストラリアは移民受け入れに積極的で、毎年10万人以上の移住による人口増加を図ってきています。内需を拡大するには、人口の増加が不可欠だからです。

円高への変動の方が急激に進みやすいので注意

一方で、豪ドルが高金利な理由を逆説的に説明する専門家もいます。いわく、資源輸出が好調なことや、産業育成や移民受け入れも積極的なので、貿易黒字が為替レート高を招き、高金利になっているという説です。高い成長が結果として高金利を生んでいる、という説明順序です。

この解説は結論は間違っていませんが、あくまで結果ありきの順序で説明しており、卵より鶏を先だと言っているようなものです。オーストラリアは他の先進国より経済の内容が不安定で、それを補うために国が様々な成長戦略を企てた結果として、高金利な状態になっていると考えるのが、順序としては正解です。

とはいえ、中国やブラジルや韓国のような、紛れもない新興国・発展途上国よりは、政治も経済も安定しており、いきなり国債にデフォルトの危機が起きたり、金利が急騰するようなリスクは低いです。ただし、豪ドルに関連する金融商品(豪ドル債券やFX)に投資する際は、為替変動が非常に激しい通貨であることには注意が必要です。豪ドルは投機マネーの流入量が多い為、一日単位の最大変動幅は経済規模が更に小さいニュージーランドドルよりも大きいという特徴があります。

また、最大の輸出先である中国が、シャドーバンキング問題や上海株式市場の混乱などで経済不安に陥っていることは、オーストラリア経済にとっては大きなマイナス材料です。リーマンショックのような世界的金融危機が起きれば、豪ドルはその高金利が吹き飛ぶほどの急激な円高が起きるリスクは十分あります。

 

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