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確定拠出年金のデメリット

他のページで見てきたように、確定拠出年金(401k)は投資家にとって極めて有利な制度です。2014年には国の社会保障審議会にて、全国民が確定拠出年金制度を利用できる方向への法改正が、2015年の国会に提出される事が決まりました。日本では公的年金の破綻が確実視されており、厚労省や財務省は年金を国民一人ひとりの自助努力に任せる方向に転換していく腹づもりなのでしょう。

従って今後は、好む好まざる関係無しで、全ての国民が自力で老後資金を蓄えていく必要がありそうです。その運用の核となる制度が、確定拠出年金です。

では、確定拠出年金に加入することで、何かデメリットはないのでしょうか? 無論、運用方法を自分で決める訳なので、資産運用の考え方(ポートフォリオやインデックス投資など)の知識が必要になります。万が一赤字になっても全て自己責任です。しかし、そうした各個人の見識以外の面で、制度としてのデメリットは無いのかを考えてみます。

確定拠出年金の最大の問題点は、60歳になるまで運用資金を一切取り崩せないことです。金融用語で言うところの「流動性リスクが高い」ということです。確定拠出年金では、毎月任意の掛け金を拠出して運用していきますが、元本も、運用で増えた分も、途中で引き出すことは出来ません。国民年金の掛け金などと同じで、あくまで年金としての扱いなので、60歳まで利用者の資金は拘束され、そのお金は一切下ろすことが出来なくなります。

例えば失業したり収入が減ったり等、生活が苦しくなっても、確定拠出年金に使ったお金は使うことが出来ません。途中で毎月の掛け金を減額したり、一時的にストップさせたりは可能ですが、引き出すことは一切出来ません(※注1)。

この流動性リスクが最大な事こそが、一般の資産運用と異なる点であり、確定拠出年金最大のデメリットです。常に家計に余裕を持てる範囲で、確定拠出年金の掛け金を設定しておかないと、お金に困った状況に陥った際に、借金せざるを得なくなります。

個人事業主の節税策としてよく比べられる小規模企業共済では、途中解約で資金を取り崩すことも可能ですし(但し元本割れもあり)、掛け金を担保に低金利で借り入れすることも可能です(⇒国民年金基金・小規模企業共済との比較)。運用利回りが低すぎる問題がありますが、掛け金の融通、いざという時につかえる面では、小規模企業共済の方が有利といえます。

特別法人税よりも、途中で引き出せない事の方がリスク

もう一つ、確定拠出年金の隠れたデメリットとして語られるのが、特別法人税の存在です。特別法人税とは、確定拠出年金の資産全体に毎年1.173%の税金が掛かるという、一種の資産課税です。但し、長年の間特別法人税は一時ストップされており、現在も2015年末まで凍結されています。問題の詳細は確定拠出年金の特別法人税のページをご覧下さい。

この特別法人税が解禁されれば、運用資産全体が毎年1.173%ずつ減ることになるので、最低でもそれ以上の利回りで運用しなければ、お金が減っていく計算になります。ということで、確定拠出年金の隠れデメリットと言われていますが、実際にはそう簡単に凍結解除されることは無いと推測されます。

解除されない理由は、確定拠出年金の利用者の多くが、預金や国債(日本債券ファンド)などの安全資産でポートフォリオの大半を運用している為です。2014年現在のように、預金金利がほぼゼロで、日本国債の利回りも0.5%前後のような状況で、1%以上の税金を掛ければ、多くの人が運用利回りがマイナスに陥るという問題が発生します。ですから、日本の長期金利が最低でも2%台以上になり、銀行預金など安全資産でも1%以上の金利が付く情勢にならない限り、特別法人税が解除されることはない、と当サイトでは推測しています。

これ以外には、確定拠出年金に大きなデメリットらしきものは存在しません。ということで、気を付けるべき点は流動性リスク、つまり『途中で引き下ろせないので、掛け金は余裕のある範囲で決める』という事だけです。

※注1;例外として、60歳までに本人が死去した場合は、家族に払い戻されます。





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