確定拠出年金と国民年金基金・小規模企業共済との比較
個人事業主が任意で積み立てられる国の年金準拠制度には、確定拠出年金以外にも「国民年金基金」や「小規模企業共済」があります。確定拠出年金よりも歴史は古いので、こちらの方が有名ですよね。これらの制度は、個人事業主の将来の年金・退職金としての側面以外に、所得控除〜つまり節税手段としても非常に優れています。国民年金基金と確定拠出年金は(両者併せて)月額68000円まで、小規模企業共済は月額7万円までをかける事ができ、全額が所得控除となります。
各々の詳細については、下に一覧表でまとめました
(以下、数値などは2009年度現在のルールです)。
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確定拠出年金(401k) |
国民年金基金 |
小規模企業共済 |
月額最大掛け金 |
両者併せて68000円まで |
70000円まで |
予定利率 |
運用成績次第 |
1.75%
加入時点の利率が生涯続く
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1%
将来変動あり |
インフレ耐性 |
○ |
× |
△ |
運用の透明性 |
◎ |
× |
× |
受け取り |
20年の有期年金など |
終身年金も可能 |
退職金として一括受取 |
掛け金の減額 |
年一回まで |
月一回まで |
申請で可能 |
途中解約 |
△ 停止処置 |
× 最低額は納め続ける |
◎ 可能(短いと元本割れ) |
借り入れ |
× |
× |
○
一般貸付は現在年1.5% |
破綻リスク |
なし
|
不明
(運用は悪化しているらしい) |
不明 |
小規模企業共済は、小規模事業主や個人事業主・フリーランス向けに設けられた、国の退職金積み立て制度です。月額7万円=年84万円まで掛けられ、全額が所得控除になります。現時点の予定利率は1%と極めて悪いですが、これは経済情勢次第で利率が変更されるとのことです。
そして小規模企業共済には、他の二つにはない大きなメリットがあります。その一つは、途中解約できること。掛け金期間が20年未満の場合は元本割れしますが、確定拠出年金や国民年金基金が途中解約できない事を考えると、大きな強みだと言えます。小規模企業共済は退職金積立制度と言うよりも、失業保険制度として使えるとも考えられます。
そしてもう一つのメリットは、拠出金を担保に事業資金等の借り入れが可能であることです。借り入れには幾つかの種類がありますが、最も高利子な「一般貸付」でも、利息は年率1.5%に過ぎません。
病気や事故など不測の事態で資金が必要になっても、途中解約したり、低利&事実上無担保で借り入れたりできるのは、他の二つの制度にはない強力なメリットと言えるでしょう。そのため小規模企業共済は、人によっては確定拠出年金よりも魅力的な制度だといえますから、じっくり加入を検討した方がよいかも知れません。
しかし、確定拠出年金と国民年金基金の比較は、検討するまでもありません。結論から言えば、今から加入を考えるなら、68000円の控除枠全てを確定拠出年金で利用して、国民年金基金には1円たりとも加入しないのが、経済学上最も有効な方法です。理由の詳細については、次項「国民年金基金のデメリット」で詳しく。
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