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「株式投資は美人投票」という格言は嘘

「株式投資は美人投票だ」という有名な投資の格言がありますよね。自分が良いと思う企業ではなく、多くの人たちが良いと思う企業に投資すべきだという考え方です。確かに株価というのは、究極的には「需給」で決まりますから、みんなが買いたがる企業の株を買うことは理にかなっている理論に見えます。

「株式投資は美人投票」と言ったのは、経済学者として有名なジョン・メイナード・ケインズです。ケインズは経済学者として名著『雇用・利子および貨幣の一般理論』を残す傍ら、ファンドマネージャーとして株式運用も行っていました。

この「美人投票理論」には様々な異論が唱えられています。株式は企業価値で決まると信じるファンダメンタル投資信者からも、市場平均に賭けることこそ最適だと信じるインデックス投資信者からも、ケインズの理論は否定されています。

特にインデックス信者からの風当たりが強いように見受けられます。というのは、インデックス投資の教典とも言われるバートン・マルキールの著書『ウォール街のランダムウォーカー』で、美人投票理論が否定されていることが原因でしょう。同書でマルキールは「ケインズは株式市場を考えるよりどころとして、金融資産評価の観点からではなく、群集心理の原理を重視したのである」と書いています。

しかし、マルキールのこの言い分には大きな間違いがあります。実は、美人投票理論を言い出したケインズ自身が、そんな理論は信じていなかったのです。

ケインズもマルキールも「釣り」発言だった

確かに若い頃のケインズは、美人投票理論・・・つまり他人を出し抜いて利益を上げる「投機」を行っていました。しかし1929年の世界大恐慌を期に、ケインズは考え方を改めます。大恐慌ではアメリカの株価は89%も下落し、多くのファンドマネージャーが市場から退場を余儀なくされました。ケインズも多大な損失を被りましたが、彼はここで群集心理に合わせて投資していてはダメだと気づきます。そして、皆が総悲観の今こそ投資のチャンスであると発想を180度転換し、割安株を長期保有する「バリュー投資家」として生まれ変わり、以後約15年に渡って年率13%超という高い利回りを記録したそうです。

ウォール街のランダムウォーカーでは、ケインズは1936年に美人投票理論を発表したとされていますが、実はその頃にはケインズは美人投票などという投機的手法ではなく「バリュー投資家」になっていたのです。つまり「株式投資は美人投票」という理論は、ケインズの壮大なフェイク(釣り)だったのです。

更にタチの悪いことに、一見ケインズに「釣られた」ように見えるマルキールも、ケインズの本当の投資法は知っているはずなのです。しかし彼は「インデックス投資こそ最適だ」という自らの理論を証明する為に、わざとケインズの美人投票理論を持ち出し、それを否定しているのだと思われます。

無論、美人投票=群集心理を読んで投資するのは間違いであり(ケインズ自身がそうしなかったことでも明らかです)、インデックス投資の方が現実的な理論なのは確かです。しかし、株式の格言が間違いや「釣り」である場合があるように、名著と呼ばれる投資本にも間違いがある場合が山のようにあります。しかも自分の利害関係などの為に、わざと間違えた理論を展開して、情報操作を仕掛ける書籍すら存在しているのが現実です。

どんな理論も鵜呑みにせず、沢山の文献・意見を参考にして、自分の頭で判断することが、投資で成功するためには必要だと思います



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