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アメリカの貿易相手国(輸出・輸入別)

以下は2015年のアメリカの貿易相手国の割合を輸出と輸入別に分けた、統計グラフです(出典;世界国勢図会)。グラフ中にはありませんが、金額の総額は、輸出が1兆5795億ドルで、輸入が2兆2683億ドル、差し引き約7千億ドルの貿易赤字となっています。

80〜90年代の日米貿易摩擦のイメージから、アメリカの貿易相手は「日本の割合が相当多いだろう」と思っている人が多いかもしれませんが、現実は全く違います。ご覧のように、日本はアメリカの輸入内訳で第四位(金額ベースで6%)にすぎません。為替が円高・円安に関わらず、90年代以降は日本からの輸入比率は漸減傾向にあります。

アメリカの輸入相手国の内訳グラフ   アメリカの輸出相手国の内訳グラフ

中国が最大の輸入先であることは、想像に難くないでしょう。21世紀に入り、安い中国製品が世界を席巻しているのは、アメリカも例外ではありません。しかし第二位・三位がカナダやメキシコである事は、多くの人が以外に感じるのでは?黒田総裁以降の日銀の金融緩和で円安ドル高が進んだにも関わらず、日本からの輸入額はメキシコの半分に過ぎないのです。

この傾向は輸入に限らず、輸出でも同様です。アメリカの輸出相手で最大の割合なのはカナダ、第二位はメキシコです。実はアメリカだけに限らず、貿易では国境を接する近隣諸国の割合が多くなるのが一般的です。陸続きの隣国だとより傾向が強く、例えばフランスはドイツが、アルゼンチンはブラジルが、マレーシアはシンガポールが、最大の貿易相手国です。

日本のマスコミは、トランプ大統領になってことさら「保護主義政策で日本企業が閉め出される」と危機を煽る報道を続けていますが、上記のグラフをみれば、その心配が薄い事は明白です。そもそもアメリカの輸入に日本が占める割合はたったの6%なのであり、より輸入が大きい3カ国、特にアメリカの仮想敵国でもある中国を目の敵にしないと、トランプの得意技=ポピュリズムが意味を成さないのですから。

日本の自動車産業は、すでに日米貿易摩擦の対象ではない

日本の輸出産業〜特に自動車業界は、かつてはアメリカへ輸出しており、それが貿易摩擦のやり玉に挙げられました。しかし21世紀に入り、自動車メーカーはアメリカ国内で工場を作り、現地生産して売っている割合が多いです。米国での販売台数における現地生産比率は、トヨタで6割、日産やホンダは8割以上となっており、トランプの言う「アメリカ人の雇用を奪っている」どころか、アメリカ人に職を提供している状況なのです。

ドナルド・トランプという男は、日本のメディアが思っているよりも遙かに無知なので、彼の行き当たりばったりで大衆を煽るポピュリズム発言を、真に受ける必要などありません。トヨタを恫喝したのも、彼の知識が20年以上前の日米貿易摩擦で止まっているだけに過ぎません。1980年代には、アメリカの貿易赤字の約半分は日本が相手でしたが、2000年には約16%、2013年には約9%まで減少しており、代わりに中国が赤字の半分近い割合を占めるまで拡大しています。

トランプは無知ですが、しかしビジネスマンとしての嗅覚は一級品です。今後は大統領の側近が、米国の貿易の正しい現状を伝えていくので、トランプがトヨタなどの日本企業をバッシングする事は減っていく(上手に利用する方が賢いと気付く)でしょう。ソフトバンクの孫正義氏が行ったように「米国内に投資する」などと適当にご機嫌取っておけば、バッシング相手が中国やメキシコへと変わっていくはずです。

シェールガス革命により、アメリカの貿易赤字は縮小する!?

アメリカでは2010年代にシェールガス革命が起きて、エネルギー自給率が90%近くにまで増加してきました。近い将来、自給率が100%を越えて輸出国に転換するとの予測もあり、大きなターニングポイントを迎えつつあります。

既に天然ガスの輸出は始まっており、2017年1月には中部電力の関連会社が米国産の液化天然ガスを初輸入しており、東京ガスや大阪ガスも米国からの輸入を始める計画です。アメリカにとっては、天然ガス輸出は貿易赤字の縮小に繋がりますし、日本にとってもエネルギーの中東依存度を下げれるため、双方にメリットのある事です。

※日本のエネルギー輸入は石油の依存度が高く、しかも8割以上をサウジアラビアなどの中東に依存しています。そのため、中東紛争(イランがホルムズ海峡を封鎖)やマラッカ海峡近辺での海賊問題など、地政学リスクが高いという問題を抱えていました。米国産のシェールガス輸入が増えれば、価格面を含め、エネルギーの安定供給に大きなプラスに働きます。

アメリカの貿易赤字は今に始まったことではありません。第一次オイルショック後の1970年代後半から、一貫して貿易収支は赤字が続いています。エネルギー輸出が増えようと、トランプ大統領が保護主義政策を貫こうとも、黒字に転換する可能性はますありません。日本は(トランプによる破棄が確実な)TPPに拘らず、米国との自由貿易協定(FTA)、特にエネルギー輸入を促進していく事が、最も国益に繋がる行為と言えます。

唯一注意したいのが、トランプが「プラザ合意」のようなドル安誘導の為替介入を強要してきた時です。日本の国益に背く要求には、はっきりNOと言える首相が居て欲しいものです。

 

 

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