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世界各国の浮動株比率(推計値)

株式投資の世界で、あまり知られていないけれど、大きな影響力を持つ指標として「浮動株比率」があります。世界の株価指数の多くが、時価総額加重平均を用いていますが、実は大半の時価総額指数が浮動株による調整が行われています。そして、株価指数をベンチマークとするETFや投資信託などに、影響を与えています。

そこで当ページでは、世界の浮動株比率を算出してみました。但し、厳密に計算するには、世界の数千に及ぶ企業の浮動株比率を調査する必要があるので、ここでは簡便的な計算方法を取っています。また、ここで扱う浮動株比率は、日本のTOPIX算出や会社四季報で用いられるものとは、定義が大きく異なっています※注1)。

浮動株比率の計算は『浮動株調整後の時価総額÷時価総額★1』となります。また、各国の時価総額(調整前)はWFE(※注2)という団体が毎月毎に集計していますので、過去の分も含めて判明します★2。 そして、計算基準として以下の二つのETFのデータを用いました。

ACWI 【MSCI オールカントリー・ワールド・インデックス】
VT 【バンガード・トータルワールドストック】
(※ACWIは2012年3月、VTは同年6月の決算数値)

この二つのETFは、共に全世界(先進国&新興国)を投資対象としており、浮動株調整後の時価総額加重平均によって、各国の組み入れ比率を決めています。ゆえに、何処か一カ国でも浮動株比率が分かれば、★1の逆算で「浮動株調整後の時価総額」が分かります。そして★2で得られる各国の時価総額と割り算をすれば、それぞれの国の浮動株比率が分かります。

問題なのは、実際に正確な浮動株比率が判明している国が無い事です。そこで当ページでは、アメリカの浮動株比率が90%と仮定して計算しています。その根拠は、NYダウ30銘柄の浮動株比率が96.2%だったこと(30社なので手動計算※注4)、及び「米国の浮動株比率は9割程度」という資料がネット上で散見されたからです。

この「アメリカが90%」という推計部分と、ACWIやVTの各国パーセンテージが下一桁までしかない為、最終的な結果には上下1割程度の誤差が生じている可能性があります。ゆえに正確なデータとは思わず、あくまで「この程度の関係性なんだなぁ」というアバウトな数値だと思って下さい。

 
アメリカ 90.0% 90.0%
日本 74.3% 67.9%
イギリス 82.7% 79.3%
フランス※注3 60.8% 62.5%
ドイツ 81.8% 74.5%
スイス 96.2% 86.9%
スペイン 34.3% 38.1%
カナダ 73.9% 75.5%
オーストラリア 84.9% 85.3%
シンガポール 36.2% 40.3%
中国 22.1% 19.7%
香港 19.7% 18.3%
ブラジル 46.0% 53.0%
ロシア 31.6% 31.6%
インド 23.5% 15.3%
韓国 57.6% 32.6%
台湾 63.5% 80.0%
インドネシア 42.2% 33.7%
メキシコ 53.5% 51.6%
南アフリカ 41.1% 40.3%
世界単純平均 67.4% 66.9%

中国など新興国の浮動株比率は低いが、最終的な投資利回りとは無関係

表を見れば一目瞭然ですが、先進国の浮動株比率は高い水準(60%超)にありますが、それに比べて新興国は非常に低い数値となっています。特に中国とインドについては、浮動株比率が20%前後という有様です。

新興国の数値が低い理由は、株式上場していても政府や関連会社が大株主の半国営企業が沢山ある事です。中国の大企業の多くが、地方政府やその関係団体が株式の過半数を抑えています。同様の理由で、MSCIの分類上では先進国扱いのシンガポールも、浮動株比率が低いです。DBS銀行・ケッペル・シンガポール航空・シングテルなど、同国を代表する大企業の大半に、シンガポールの政府系ファンド「テマセク」が大量出資している為です。

浮動株比率が低いことは、株価が乱高下しやすくなるので、好ましい事ではありません。しかし、あくまで変動が大きいと言うだけで、浮動株比率の高低が最終的な株価パフォーマンスに影響を及ぼす訳ではありません。

何より、新興国の方が先進国よりも経済成長が著しい為、株価の上昇余地が大きい事も事実です。ACWIやVTのように、浮動株比率を理由に新興国の投資比率を下げてしまうと、長期的には投資利回りを押し下げることになるでしょう。

 

※注1;会社四季報の定義は「1単元以上〜50単元未満の株主が所有する株式数の合計が発行済株式数に占める比率」とある。これは個人など超小口株主の比率を示しており、世界基準で言う所の浮動株比率とは完全に別物なので注意!
※注2WFE(国際取引所連合)は世界の52の証券取引所のデータを集計している機関。
※注3;WFEの時価総額データが、フランス単独のものがなく「NYSE Euronext(仏+オランダ+ベルギー)」でまとめられていた為、当サイトの計算も三カ国合計で行った。オランダやベルギーの時価総額を考えると、フランス単独の場合と大差ないと推計される。
※注4NYダウ30社と新興国の浮動株比率を比較してみた(姉妹サイト)

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