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世界の有名な巨大非上場企業

業界で大きな影響力を持つ大企業は、大抵が株式上場しています。株式発行はエクイティファイナンス、すなわち返済する必要のない資金調達なので、成長期の企業にとっては非常に有利なファイナンスだからです。

しかし中には、有名企業でも「非上場」という会社は、少なからず存在します。例えば日本では、サントリーが巨大非上場企業(売上高約1.3兆円)として有名ですが、それでも世界の飲料企業ではトップ10に入るかどうかといったレベルです。

ところが世界には、各業界で最大規模となる巨大企業でも、株式上場していない会社も存在します。投資家としては余り役に立たないかもしれませんが、豆知識として紹介してみます。

ロバート・ボッシュ
(Robert Bosch)
ドイツに本社を置く、世界最大の自動車部品メーカー。ディーゼルエンジンやブレーキシステム、電子制御システムなどに強みを持ちます。ベンツやBMWといった高級車はもとより、世界最安の車=ナノ(タタ自動車)にも、ボッシュの部品が使われているそうです。自動車部品製造で培った技術を派生させ、電動工具などの販売も手がけています。
2008年の売上高は約3.2兆円。
イケア
(IKEA)
スウェーデンにある、世界最大の家具専門企業。日本でも関東・関西圏に進出が始まり、知名度は急上昇しています。イケアは製品の設計・製造から最終的な販売まで、全てを自社で手がけるSPA(製造小売り業)戦略で、低コスト化を実現しています。また入り口からレジまでを一本道にする店内レイアウトや、店内に倉庫も併設して顧客自ら商品を運ばせるなどの独特のシステムも、イケアの成功の秘訣だと言われています。創業者=イングヴァル・カンプラードは、世界の大富豪トップ10に常連入りする大資産家です。
2008年の売上高は約2.8兆円。
デビアス
(debeers)
かつては世界のダイヤモンド市場を完全支配していた、南アフリカの企業。採掘から流通〜小売りに至るまで、マーケットを完全支配していた為、1990年代半ばまでは世界のダイヤモンド市場の8割を、デビアス社が押されていました。2001年までは上場企業でしたが、創業者であるオッペンハイマー一族がTOBを行い、非上場化されました。
2008年の売上高は約6500億円(参考;デビアス社とダイヤモンド市場)。
カーギル
(Cargill)
アメリカに籍を置く、世界最大の穀物メジャー企業。世界の穀物貿易の7割以上を、穀物メジャー4社(カーギル、ADM(アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド)、ブンケ、ルイ・ドレフィス)が牛耳っています。中でもカーギルの規模は突出しており、2008年の売上高は約11兆円とADM(6.5兆円)の倍近いです。米国政府内にカーギル出身者を懐柔させるなど、政治面からも市場の独占を推し進めています。しかし穀物メジャーによる寡占化が、近年の穀物価格急騰の原因ともされ、反感を買っていることも事実です。
サウジアラムコ
(Saudi Aramco)
サウジアラビアの国営石油会社。原油の埋蔵量が世界最大(原始埋蔵量(確認埋蔵量)約7000億バレル、可採埋蔵量約2600億バレル)と言われています。元々は米国系企業数社との合弁会社であったが、1980年に完全国有化が成されました。サウジアラムコに限りませんが、新興国の資源企業は多くが国営企業で上場しておらず、富が一部の権力者に集中している原因となっています。
2008年の売上高は約18.4兆円。
フェイスブック
(Facebook)
近年最も注目されている、アメリカのSNS運営会社。全世界に5億人とも言われるユーザーがおり、しかも実名での登録が義務付けられていることから、その広告的価値は天文学的になると見られています。そのため株式上場すれば、時価総額は最低でも5兆円以上になると見込まれています。しかし、2012年前半に上場予定とされていたのが、同年後半以降へ延期すると発表されています。フェイスブックには、個人情報の流用疑惑が常に取り沙汰されています。上場すれば厳しいコンプライアンスを求められるので、その準備が整っていない為の延期だと見られています。
★追記:2012年5月18日、ナスダック市場に上場済み。
日本郵政 郵政民営化により誕生した持ち株会社。郵便局、ゆうちょ銀行、かんぽ生命等を子会社として保有し、連結売上高は10兆円を超えています。連結の売上げや総資産で、日本郵政は世界最大の金融機関です(注1)。ゆうちょ銀行やかんぽ生命は株式上場の計画もありましたが、民主党政権になり郵政民営化見直し(再度国有化)も検討されています。

上場しない理由〜買収リスクやコスト抑制

これらの大企業は、日本郵政とフェイスブックを除けば、今後も上場する可能性は皆無だと思われます。彼らが上場しない理由は、株式を発行すれば会社の経営権(の一部)を投資家に渡すことになり、経営に口出しをされるからです。サウジアラムコが国営化したことや、デビアスを創業者一族がTOBしたことなどは、これが理由です。穀物市場の寡占化を目論むカーギルも、その戦略を邪魔されない為に上場しないのでしょう。

また会社の利益は株主のものとなりますので、長期的に見ればエクイティファイナンスよりデッドファイナンス(借金)の方が、コストが安くなることが多いというのが定説です。ボッシュやカーギルは資本集約型企業に分類されますが、株式上場での資金調達を行わないことは、その方が長期的にはコスト抑制に繋がるからでしょう。

もう一つの上場しない理由として、株式を買い占められる〜敵対的買収をされるリスクも生まれるからです。デビアスやイケアを創業者一族が支配しているのも、ライバル会社やヘッジファンド等に買収されるリスクを避ける為だと考えられます。

日本では、敵対的買収は「けしからん行為だ」と思われていますが(ライブドアの日本放送買収の件など)、これは世界から見ればお門違いの理論です。上場している以上は、株式を買い占められるリスクを覚悟すべきであり、それが嫌だと言う企業は、株式上場する資格はありません。上記の企業のように、非上場企業として生きていけば良いだけの話です。

 

※注1:各年の決算や為替レートの変動により、何処が最大の金融機関かは毎年変わります。なお、ゆうちょ銀行は2006年時点の総資産は220兆円で、銀行として世界最大となっていました。

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