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アメリカの不動産価格推移

アメリカの不動産価格の推移を表す指標として、最も標準的なのが「S&Pケースシラー全米住宅価格指数」です。全米の住宅用不動産価格の推移を総合した指数であり、2000年1月の価格を100として算出しており、1999年以前の数値も遡って計算されています。景気を先取りしたり投機マネーの動きで左右される株価(NYダウなど)と違い、不動産価格は経済の実態に近い値動きをするので、アメリカの景気判断を行う上で特に重要視される指数です。

下記は、そのケースシラー全米住宅価格指数の推移グラフです(※注1)。1975年1月の数値は25.2、最新の2015年7月の数値が175.1となっています。つまりアメリカの不動産価格は40年間で7倍になっている計算です。

アメリカの不動産価格推移グラフ

 

ケースシラー全米住宅価格指数の史上最高値は、サブプライムバブルが弾ける前の2006年7月の184.6。その後リーマンショックを経てじりじり価格が下落し、2012年2月に134.0で底を打ち、現在は175まで回復してきています。NYダウ平均株価やS&P500指数はリーマンショックで、ピークから1年半で約50%暴落していますが、不動産価格は5年半掛けて30%程度の下落率で済んだわけです。不動産は流動性が低いことや、実物資産(住居)としての価値がある為、株価に比べて価格変動が緩やかなのが特徴です。

ちなみにケースシラーの住宅価格指数は、全米20の主要地域ごとの数値も算出されています。基準はやはり2000年1月を100としており、2015年7月時点で最高値なのはロサンゼルスの238、ニューヨークは180で、最低なのはデトロイトの103です。

デトロイト市は、城下町企業であるGM(ゼネラルモーターズ)がリーマンショックで経営破綻した影響で、市が財政破綻(デフォルト)して、都市部でもスラム化が進んでいます。こんな最悪の状況にも関わらず、2000年から見ればまたデトロイトの不動産価格はプラスな訳です。このデトロイトのケースからも、不動産は価格変動が緩やかである事が証明されますね。

日本のバブルは凄まじかった〜日本の公示地価との比較

次に、日本とアメリカの不動産価格の推移を比較してみます。日本は国土交通省が年1回発表する、公示地価の全国平均を使い、S&Pケースシラー全米住宅価格指数と比較したグラフが以下です。日本が不動産バブルが始まる前の1983年を基準に直しています。なお、アメリカは不動産価格なので「土地と建物の両方」の価格ですが、日本の公示地価は土地のみの価格となりますから、厳密には比較基準が少しずれている事になりますのでご注意を(※注2)。

日米の不動産価格推移の比較グラフ

アメリカの不動産価格はこの間、ジリジリと値を上げて約3.4倍になっています。一方で日本の不動産価格は、1983年からわずか1.2倍にしか上昇していません。グラフを見ても明らかなように、日本は80年代後半の不動産バブルが凄まじすぎて、その後遺症が暫く続いたことが大きな理由です。

日本の公示地価は、1991年がピークで83年から約4.9倍に暴騰し、その後は急坂を転がり落ちるように下落の一途で推移しています。一応、2013年を底に僅かに反転し、2013〜2015年で5%ほど上昇しています。これは日本の景気が少し回復した事と、東京でオリンピック特需に乗った不動産投機が激増していることが理由です。

当然、東京のみの局所バブルであり、全国的には空き家率が10%を越えるなど、不動産の余剰が問題化しつつあります。そもそも日本は、少子化による人口減少で住宅需要は漸減していく事が確実です。一方でアメリカは、出生率が高いことや移民が多いことなどから、先進国では例外的に人口が増加しており、住宅需要は常に高い状態です。

よって、上記のグラフが再びクロスする、日米の不動産価格が逆転することは、おそらく未来永劫あり得ないと思われます。オリンピックを材料に首都圏の不動産でバブルが起きていますが、2020年以降は梯子が外れて一気に大暴落するリスクもあるので、素人が不動産投資に手を出すのは止めた方が良いでしょう。お金を増やしたければ、素直に世界株にインデックス投資しておくことがベターです。

   

※1:データ出典は S&P DowJones公式サイトのケースシラー全米住宅価格指数ページより。
※2:日本には、ケースシラー住宅価格のように、土地だけでなく建物まで含めた不動産価格の推移を表す経済指標は存在しないので、便宜的に公示地価を使いました。不動産における土地と家の値段はほぼ連動するので、大局的な価格推移を掴む分には、特に問題ないはずです。

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