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トランプ大統領誕生の金融マーケットへの影響

最初はネタのように思われていたはずのドナルド・トランプ氏が、正式に共和党の大統領候補になりました。民主党ヒラリー・クリントンにはアンチも多いので、冗談抜きでアメリカ合衆国大統領にトランプが成ることもあり得る状況になっています。

ではトランプ大統領が誕生すると、金融マーケットにはどのような影響が及ぶでしょうか?

※カツラ疑惑を否定する為、仕込みの(?)支援者に頭髪を調べさせるドナルド・トランプ

まず大前提として認識しておくべき事は、トランプ氏は過激な発言をすることで注目を集めて人気を得るという、ポピュリスト・炎上商法の男だと言うことです。イスラム教徒の追放やらメキシコとの国境に城壁を作るだのと、過激な政策を言っています。他にもTPPを白紙に戻す、中国に人民元切り下げを止めさせる、などとかなり無茶な主張をしていますが、大統領になってもおそらく10中8〜9は実現しないであろう政策です。

トランプ氏には政治的な信念や主義主張があるわけではなく、あくまで大衆受けするような事を言って人気を取ろうとしているだけに過ぎません。あるいは、支離滅裂な発言も多いことから、計算された言動では無く、その場その場で思いついたことを言ってるだけという可能性も捨てきれません。都合が悪くなったら「そんなの言ってない」と前言撤回・ちゃぶ台返しをする様から、単なる天然キャラ(若しくはサイコパス)だという推察もあります。

いずれにせよ、小泉純一郎と同じポピュリストそのものです。景気の良い過激なことだけ言って人気を取り、いざ自分がトップに立つと面倒なことには手を付けない、もしくは他人に丸投げするという「口先だけの無責任男」だといえます。

そもそもトランプ氏は、新自由主義&金融マーケットを支持層にもつ共和党の代表です。少なくとも、株式市場に損になるような政策は行わない(行えない)でしょう。

かといって、己のビジネスに有利な政策を進めるというのも、到底無理な話です。トランプ氏はご存じのように、不動産投資で45億ドルもの資産を作った人物です。不動産マーケットこそが彼の主戦場です。したがってFRBが(2016年度中にも)再度の利上げを計画している事は、不動産マーケット(=トランプのビジネス)には逆風です。しかしFRBは米国政府から独立した組織であり、大統領とて金融政策に口出しすることは出来ません。トランプがいくら反対しても、FRBが金融引き締めが必要だと感じれば、利上げは行われます。

トランプが世界に与える影響はほとんど無いが、金融市場のボラティリティは高まる

では外交面〜他国への圧力はどうでしょうか?トランプ氏は特に中国に対して「アメリカ人の雇用を奪っている」「中国は敵国だ!」などと厳しい発言をくり返しています。人民元切り下げについては「容認しない」とも言っています。とはいえ、これもアメリカ国民からの人気取りだけを考えた発言に過ぎません。

アメリカの最大の貿易相手国は中国ですから、関係をこじらせることは米国の国益に反します。何より中国は独裁国家であり、世界と協調する気がほとんど無い国ですから、本気で人民元切り下げを行いたければ、独断で断行するでしょう。という訳で、トランプが大統領になろうとも、米中関係はさほど大きく変わらないでしょう。

日本への影響はどうでしょうか?トランプが「米軍基地の費用を全額負担しろ」と言っていることは、日本人として警戒したくなる発言です。イスラム教徒や中国に対する政策はともかく、属国である日本に対する政策なら実現の可能性は高いですし、アメリカ側からすれば誰も損しない話なので国民受けも良いでしょう。

いくら安部総理が憲法改正のタカ派であっても、いきなり日米同盟を破棄して自衛隊単独で国防に当たることなど、到底不可能です。従って短期的には米国政府の脅しに屈し、米軍へのいわゆる「思いやり予算」の負担が増える可能性は十分あります。しかし思いやり予算の金額は、年間で1800億円程度。仮に倍になったとしても、年間の負担増は2千億円程度であり、一般会計予算(90兆円超)の0.2%に過ぎず、日本政府の財政に大きく影響するほどの金額ではありません。

つまり、トランプが大統領になったとしても、金融マーケットにも、そして日本にも、大きな実害が及ぶ可能性は低いのです。むしろライバルである反日家ヒラリー・クリントンの方が、日本にとっては遙かに危険な人物です。

唯一、注意しておきたい影響は、プラザ合意のような突然の為替政策(米ドル切り下げ)です。2016年現在、日本、ヨーロッパ、中国、その他新興国ともに経済が不振で、各国とも金融緩和(利下げ)状態です。世界でほぼ唯一、アメリカだけが経済が好調でFRBも金融引き締め(利上げ)体勢に入っています。

もしFRBが利上げを進めていけば、世界の投資マネーがアメリカに一極集中し、ドル高を招く可能性が高いです。大統領はFRBの政策に直接関与は出来ませんが、他国に圧力をかけ、為替の協調介入でドル高を防ぐように仕向けることなら可能です。1985年の「プラザ合意」というドル安協調介入の前例もあります。

ということで、もし米ドル高が一方的に進んでいけば、トランプ大統領が突然、他国にドル売り協調介入を要求する事は十分あり得ます。トランプ大統領が誕生すれば、マーケットが予期せぬタイミングで、突然過激な政策を言いだして、金融市場が乱高下するリスクは高くなりそうです。マーケットというのは、長期的には影響が無い内容でも、短期的には要人の発言に過剰に反応して乱高下する性質があるので、トランプの一挙手一投足に振り回させる可能性は高いです。

以上まとめると、トランプ大統領で唯一確実な影響は、短期的にマーケットのボラティリティが大きくなる事だけです。

 

 

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