フィリピンへ投資する方法
日本からフィリピンへの投資方法としては、個別株とETFが共に揃っています。日本ではアイザワ証券で、フィリピンの個別株を購入できます。初心者なら、市場全体に投資するフィリピンETFで十分だと考えられますが、特定の企業に詳しい人や、下記にあげる問題点が気になる人は、個別株投資にチャレンジするのも良いでしょう。
同国に投資するETFは、米国上場の「MSCIフィリピンインデックス(EPHE)」が該当します。コスト(信託報酬)は0.65%と、新興国の国別ETFとしては平均的な水準です。しかしこのETFは、わずか35銘柄しか保有していません。フィリピン証券取引所には約240社が上場していますが、時価総額上位10銘柄で、市場全体の約60%を占めるという寡占状態だからです。
その原因は、フィリピン経済自体が、一部の財閥企業の寡占状態にあるからです。旧植民地時代から続くスペイン系財閥(アヤラグループ)や、中国系財閥(SMグループやゴコンウェイグループ)などが、長年に渡って同国の経済を牛耳っています。故に、株式市場もこれら財閥系企業が、時価総額の大半を占めています。
旧態依然の経済構造が株価上昇を阻んでいる
フィリピンの貿易相手国は、輸出・輸入共に日本がトップです。半導体産業が輸出の主力商品ですが、しかしアジアの中でも相当に工業化が遅れている国であり、国民の3分の1は未だに農業に従事しています。上記の財閥企業も、金融や小売や不動産など、大半が国内限定のビジネスに留まっていることも、問題を助長しています。
一人当たりGDPは約2000ドルで、これは中国とインドの丁度中間に相当します。しかし、財閥系企業に努める人や、一部の大地主が富を独占しており、大半の庶民は非常に貧しい生活を強いられています。フィリピンは、東南アジアで最も貧富の差が激しい国の1つなのです。所得格差が縮まる=内需が拡大することが出来れば、フィリピンの株式市場も大きく成長するはずです。
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