ベトナムへ投資する方法
ベトナムは、人件費が高騰を続ける中国に代わり、世界の工場としての地位を確立し始めています。日本をはじめ多くの国の企業が「ポスト中国の生産拠点」として、現地法人の設立や工場の建設を進めています。この外国資本の流入が、ベトナムの高いGDP成長率の源泉です。
ベトナムは名目は社会主義国ですが、中国と同様、資本主義経済の利点を積極的に取り入れようとしています。外資を受け入れて経済成長を図っていることもそうですが、2000年にホーチミンに株式市場が設立したことも、その典型例だといえます。
そんなベトナム株への投資は、日本でもSBI証券
やアイザワ証券やニュース証券などが、個別株を取り扱っています。投資家からの人気という面では、中国株に次ぐほどの存在です。
また、ベトナムでは外国人旅行者でも、現地で銀行口座を開設できる所もあります。高いインフレ率を反映して、利息はかなり高いようですが、恒常的に通貨が切り下がっている点は注意です(後述)。
一方で投資信託やETFの市場は、まだ不十分です。ベトナム株投信はまだ数自体が少なく、信託報酬も2%を超えるなど高コストです。またETFも、香港上場の「db
xトラッカーズFTSEベトナムETF」しか無く、しかもこれは現物株を保有しない「ETN」なので、大金を投資するには不安の残る商品です。
マーケットの小ささと通貨=ドンの切り下げがリスク
ベトナムの株式市場は、2006〜7年頃にVN指数が3倍になるほどのバブルが起きました。丁度日本でも、ベトナム株投資がブームになった頃でした。しかし2007年末にはバブルが崩壊し、2011年現在でも、VN指数はピーク時の半値にも満たない水準です。
バブル崩壊は、アメリカの金融不安の煽りを受けた面もありますが、ベトナム市場がまだ脆弱な存在であることの証しでもあります。
例えばホーチミン証券取引所の上場企業の時価総額はわずか110億ドル(約1兆円)程度しかありません。これはアップルやトヨタ一社の時価総額と比べても、10分の1以下という水準です。マーケットが小さすぎる為、投機マネーの動き一つで、株価は大きく乱高下してしまいます。
MSCIがベトナムを新興国よりも更に下の「途上国」に分類していることや、ベトナム株の投信やETFが増えないのは、マーケットが小さすぎて売買の制約が大きいことが、最も大きな理由です。
もう一つ、ベトナム市場のリスクとして、同国の通貨=ドンが頻繁に切り下げを行っていることが挙げられます。この流れは当面続くことが予想されるので、短期的には株価が上昇しても、為替差損で利益が減少する恐れが高いです。
確かに中長期的に見れば、ベトナムは最も有効な投資対象国の一つと言えます。しかし短期的には、上記のようにリスクも多くあり、値動きが極めて激しいマーケットであることを認識しておくべきです。
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